ふかくさ町家シネマ・ふしみふかくさコミュニティアーカイブプロジェクト

活動の概要

市井の人々の視点から京都市伏見区深草周辺が記録された映像(主に8ミリフィルム)を、郷土資料として収集・デジタル化・公開するとともに、その活用方法を検討することを目的としたコミュニティ・アーカイブの試みを行っています。フィルムが傷んで上映できなくなる前に映像を共有できるよう、所有される御家族にはたらきかけ、プライベートな生活が刻まれた動画を上映しています。そして地域住民の世代を越えた会話のなかから、地域の歴史を共有し、その記憶と思い出を地域の未来を描くための資産にする活動を行っています。

企画の趣旨を説明する学生

活動の内容

昭和30-50年代にかけて記録された「8ミリフィルム」。そこには、個人的な視点から捉えられた、かつてのまち並みや暮らしぶりが記録されています。2014年3月から始めた「ふしみ・ふかくさコミュニティ・アーカイブ」。龍谷大学政策学部の学生が主体となって、京都市伏見区周辺が記録されたフィルムを発掘し、プライベートに撮影された映像に、家族の親密さが伺える食卓や調度、あたたかな生活、町を往来する人々の服装や自動車など、昭和の地域の歴史が刻まれているのを発見してきました。

フィルムを見つけたご家庭から一報いただいて、映写機を持参して、訪問し、ご家族に観ていただきます。そして撮影された当時の思い出を振り返っていただいたうえで、地域のみなさんに観ていただいても良いかご相談します。「人様にお見せするようなものでは」と控えめなご家族もいらっしゃいますが、地域のみなさんの思い出にもつながるからとご了解をいただき、その映像を近隣住民の皆さんで囲む上映会を企画してきました。

フィルムを提供くださったご家族、ご友人をはじめ、当時を覚えておられる高齢者のみなさまにお越しいただく上映会「町家シネマ」。映写機が回り、映像が暗闇に浮かび上がると会場から歓声があがり、おしゃべりがはずみます。映像に映っているものはかつてこの地域にあったものだとわかっていても、学生たちには初めて見るものばかりで質問は尽きません。当時の地域や社会の記憶を辿っていただき、地域の歴史を共有します。

地域からお借りした8mmフィルムの映像

懐かしそうに鑑賞される地域の方々

これまでの成果

地元の藤森神社の祭礼、地元酒造メーカー月桂冠の古い広告映像の描かれた酒造り、家族の旅行(琵琶湖、動物園、ハワイ、万博)、京都駅前のデパート「マルブツ」と屋上遊園地、祇園祭、伏見在住の方だけでなく京都の方にとって懐かしい映像がこれまで、次々に見つかり、学生たちに当時の社会状況や思い出を語ってくださいました。景観条例のできる前の河原町通りは広告看板の多かったこと、万博に詰めかけた人の多さや、行列の記憶、この期を境に、街にファストフードや自動販売機、動く歩道などが普及し、家庭に電化製品が増えて「便利な」暮らしが広がっていったことなど、昭和の記憶を断片的ながら世代を越えて共有できました。

京都大学で発掘された「関東大震災」の大正時代の映像(ニュース映画フィルム)の上映の際は、阪神淡路大震災時、神戸で立ち上がったFMわぃわぃからゲストを迎え、避難当時の様子を住民のみなさんから伺い、その後開発された保存食を試食しました。

1968年、伏見区でベトナム戦争の脱走米兵が匿われていました。預かったご家族が撮影した映像には、安心した表情ですき焼きを食べているアメリカ兵が映っていました。

2017年(平成29年)は、大阪での万博誘致が話題になっていることから、昭和のEXPO‘70を訪ねたご家族のホームムービーを上映し、アメリカ館の行列や、パビリオンの思い出を語って頂きました。「便利な」時代が到来した一方、ベトナム戦争は続いており、「人類の進歩と調和」は本当にもたらされたのかを語ってくださった映像提供者の方もおられました。

家族のお正月(おせち、お屠蘇、年賀状、一家の和装の初詣)には、撮影されたお父様(故人)も映っています。上映当時94歳になっていらしたお祖母様はお連れ合いとの映像をうれしそうにながめて、この映像が観られるならまた来たいと言ってくださいました。今、そうして記録された昭和のお正月風景はどれ程の家族に残っているでしょうか。フィルムも酸化しはじめており、痛んでしまう前に一部の映像は、DVD化しお礼としてご家族にお贈りすることができました。

学まちコラボ事業として認定されました。

今後の目標・課題

このアーカイブ活動では、見つかったフィルムや動画自体をネットには保存しません。フィルムとDVDは共有させていただきますが、個人のご家庭にお返しし、公開することは予定しておらず、参加したみなさまの記憶にアーカイブされます。上映会の模様は動画で記録し、非営利で上映する際のみ用いさせていただきます。そこでの対話は学生が書き起こし、断片的であってもそこでの記録は、報告リーフレットにまとめるなどし、地元図書館に寄贈して地域に還元することを考えています。また、学生にも共有させていただき、卒業論文に引用させていただきました。地域研究として、学生がますます興味を持つことが期待されます。

受賞・助成採択実績

2014.2015.2017年 京都市学まちコラボ採択事業
2014年 伏見区区民事業・京都地域力再生プロジェクト採択
2014年 龍谷チャレンジ

【他団体・グループとの連携について】連携可

連携先へのメッセージ

住民の「伏見歴史DO!」が関心を持たれたので、ホームムービーディとして実施される。学生主体から地域住民主体に活動が根付いてゆくことは望ましい。

お問い合わせ

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活動団体情報

代表者
松浦 さと子
(政策学部教授)
専門分野:コミュニティメディア、社会学

主な連携メンバー
NPO法人 記録と表現とメディアのための組織remo、吉岡映像、深草商店街、京都リビングエフエム、深草学区うずらの会、伏見歴史DO!、映画監督長岡野亜、ほか、近隣住民の皆様

活動開始時期
2014年3月

主な活動地域
伏見区深草周辺

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