廃棄衣服を家具にアップサイクル!京都の人の繋がりと物作りで環境活動に挑むプロジェクト(2022年度龍谷チャレンジ採択事業)

(1)事業の概要

今年度、学生団体「京結える」は、「地域と自然の魅力を未来へ繋ぐ」ことを目的として、メンバー5名で「環境活動」と「循環型まちづくり」の2つの事業に取り組んだ。

活動1(環境活動)

  • 廃棄繊維をアップサイクルした家具や雑貨の製作販売
  • 廃棄野菜や石灰石を活用した紙作り

活動2(循環型まちづくり)

  • 地域での緑化による地域交流の創出
  • 飲食店等への食事チケットやコンポストの設置

(2)事業実施に至る経緯と背景

活動1(環境活動)

2021年の春、代表の藤田が京都市の鴨川を散歩していた時に、川辺で大量のごみを目撃した。そこで、この問題は自分一人の力では解決が難しいと感じ、楽しみながら、より多くの方がこの廃棄問題に関心を持ち、日常で取り組めるようにする必要があると感じた。

活動2(循環型まちづくり)

近年の少子高齢化や働き方の変遷により、多世代の孤立が課題となっている。ここで、幅広い世代が興味関心のある「自然の循環」によって地域交流を創出しようと考えた。

(3)事業実施項目

活動1(環境活動)

  1. 廃棄繊維をアップサイクルしたブロックの開発、品質の改善
    衣服を反毛(粉砕)した繊維に、こんにゃく糊(江戸時代に和紙傘などの防水加工として使われていた)などの独自開発した樹脂を混ぜ、プレスし、乾燥させることで軽量なブロックを開発した。この過程では「日本繊維機械学会 様」、「京都発明協会 様」、「京都伝統工芸大学の学生」などの協力を得て取り組んだ。
  2. 連携による製造の効率化
    家具や雑貨の製作において、「井上商店 様」と連携させていただき、反毛繊維(粉砕されたカーテンなどの繊維)を回収させていただいた。
  3. 製品の製作、展示、販売、ワークショップ、啓蒙活動
    ■製作
    ・椅子、時計、コースター、紙など
    ・その他、京都を中心とする様々な学生団体と連携した製品開発
    ■展示
    ・京都市役所前「循環フェス」(50名)
    ・端材廃材ビジネスマッチング in 大阪ギフトショー(100名)
    ■販売
    ・イオンモール京都桂川「サスティナブルマルシェ」(5名)
    ■ワークショップ
    ・京都市役所前「循環フェス」(5名)
    ■啓蒙活動
    ・登壇、メディア出演、高校生への授業
  4. 地域の循環作り
    ただ販売するだけでなく「日常を豊かにしたい」という思いを届けることで、購入者や連携団体の「思いと行動」を変化させ、地域循環を創った。
    「自分たちも元気になる」「デザインが温かい」「生徒に教えてほしい」「この原料でもできる?」などの声をいただくことができた。

活動2(循環型まちづくり)

  1. 定期的な活動
    5回以上の緑化活動に取り組んだ。
  2. イベントの開催
    「収穫祭」の実施(ジャガイモ,サツマイモなど)、ワークショップの実施(植物を用いた紙作り)

(4)事業の成果

活動1(環境活動)

  • 伝えた人:200名以上
  • 巻き込んだ企業、学生団体:10以上
  • 製作した商品の数:30以上
  • 製品販売:イオンモール京都桂川
  • 登壇:おひるごはんセミナー、「循環フェス」(ヒューマンフォーラム 岩崎社長と対談)、MTRL Material Meetup KYOTO vol.17 ライトニングトーク
  • 一般メディア:アミタホールディングス 公式 YouTube 出演(佐藤社長と対談)
  • 公共メディア:毎日放送(TV)、京都放送(TV)、読売新聞(Web:千趣会 梶原社長&龍谷大学REC木村センター長と対談)、繊研新聞

活動2(循環型まちづくり)

  • 活動回数:5回以上
  • 開催したイベント:3件
  • 巻き込んだ人:延べ20名以上

(5)課題と今後の展望

課題と解決策

今年度、活動1において、基礎研究から販売まで取り組むことができた。今回の事業での課題は大きく分けて以下の3点がある。

  1. ブロックが実用的でない(強度は十分でなく樹脂の臭いがする)
    → 様々な樹脂を用いて実験する,樹脂の専門家にアドバイスをいただく
  2. 生産に時間と労力がかかる(1つの家具を作るのに、1週間ほどかかる)
    → ブロックを一度にたくさん作れるようにする
  3. 販売チャネルが限定的である(販売の機会が少ない)
    → オンライン販売や、継続的に販売できる場所を見つける

今後の展望

以下の3点の軸をより固め、「日常に彩り循環」を創り続ける。

  1. 環境保護(年間廃棄繊維を1トン減らす)
  2. 彩り(自然や田舎で感じる温かい感覚を未来の日常でも体感できるようにする)
  3. 社会へ広げる(環境問題を日常でも取り組める仕組みを創る)

(6)事業実施を通じて見出された特長

ポイント1「知識や技術は連携で乗り越えられる」
ポイント2「『どうやってするか』よりも『なぜするか』」
ポイント3「誰を笑顔にしたいのか。これが最も大事」

活動団体情報

代表者
京結える
藤田 政広

連絡先
REC事務部(京都)

主な連携メンバー
ヒューマンフォーラム、日本繊維機械学会 京都工芸繊維大学名誉教授 木村 照夫 先生、京都市産業技術研究所、株式会社colourloop、京都デニム、Lápiz Private、株式会社ユキサキ、京都市下京いきいき市民活動センターなど

活動開始時期
2020年11月

主な活動地域
京都市役所、京都市下京いきいき市民活動センター、梅小路公園、龍谷大学など