(1)事業の概要
当初障がい者のディーセントワークの実現のため、商品開発を通じたマッチングサポート・マーケティングを行う予定をしていた。商品販売やラジオを通じた宣伝・広報、試作会への参加など着々と準備を進めていたがその後話が白紙となり、代わりに障がい者の兄弟に着目した支援事業に変更。2月に行なったカフェイベントではアイスブレイク後に、お互いの悩みや良かったこと、親や兄弟との関係、将来への不安について共有する機会を設けた。
(2)事業実施に至る経緯と背景
当初は3つの事業を予定したが、以下の理由により実施が困難となった。
(1) 障がい者を主体とした劇の実施
就労移行支援を利用している障がい者にとって、就労後の劇の練習等が体の負担になる懸念から。
(2) 企業・農家と福祉が結びあえる場の開催
城陽のお茶を使用した商品開発のつながりから連携を強化しようと試みたものの、商品開発そのものの話が断念し、開催が不可能になった。しかし障がい者の就労環境の現状に関する研究は継続して取り組んだ。
(3) 夜カフェ & Barの実施
父親を対象とした夜カフェの実施を試みたが、育児への協力や障がいについての理解が母親と比較して十分でなく、また仕事の帰り参加者の確保が困難であった。
(3)事業実施項目
(1) 西浦祭り パウンドケーキ販売
深草西浦中公園で開催されたお祭りにて、南山城学園が製作しているパウンドケーキを販売・周知。
(2) 試作会
城陽のお茶農家・JA・南山城学園の方々とお茶を使用した商品の試作品の試食会に参加した。
(3) 障がい者の就労環境の現状に関する研究
日本の障害者に対する就労支援政策の分析を行い、現在の就労支援政策の問題点を整理するため、京都府内の障がい者を受け入れている企業10社に対しアンケート調査を実施した。(実施期間:12月6日~12月17日)また、調査結果はGoogleフォームにて集計。
アンケート調査の協力を仰ぐため、依頼文と調査票を持参し、アポを取った上で企業へ訪問を行なった。
(4) きょうだい児
兄弟に障がいのある3名の方に集まっていただき、アイスブレイクを行った後に、お互いの悩みや良かったこと、親や兄弟との関係、将来への不安について共有する機会を設けた。
(4)事業の成果
(1) アンケート調査
回答数は22件。
- 「障碍者とともに働くことで感じるメリットは何か?」という項目でにおいて人手不足の解消」と「多様性のある企業文化、組織作り」が同率で、最も多くの回答を得ることができた。
- このアンケート調査の結果から、企業が障碍者を雇用することは、法定雇用率の達成、以外の面でもメリットがあることが、明らかになった。
- また、障害者と共に働いていない人の中で「障がい者と共に働きたい」と回答した人は全体の約半数以上に上ることが明らかになった。
→障害者雇用における、企業側にもたらされるメリットを提示した上で、障害者雇用を進めることが必要であるとの結論に至った。
(2) きょうだい児
回答数は2件。
- 「淡々とインタビューされても深い話ができたかもしれないが、同年代の方々と笑い合いながらお話しできて、きょうだい児としての立場を前向きに捉えたり、思い出を聞き出していただけて嬉しかった。もっともっと想像しにくいことや素朴な疑問を投げかけてみてください。素敵なお時間をありがとうございました。」(参加者アンケートより)
- 「たのしかったし美味しかった!」(参加者アンケートより)
(5)課題と今後の展望
今回の事業での課題は、当初予定していた内容の実施が困難となり事業が滞ってしまった。また一般企業とも間接的なやりとりであったため一度話が白紙になると連携を継続して行うことができなかった。メンバー全員が3年生(4月から4年)なこともあり、このメンバーでのチーム活動としては終えるが、障がい者のディーセントワークや、今回行ったきょうだい児についての研究は今後も続けていく予定である。
(6)事業実施を通じて見出された特長
- 連携先のニーズを広く深く聞き入れること
- 間接的にではなく直接的に連携を取り合い、事業を進めていく必要があること
活動団体情報
代表者
お茶福プロジェクト
中筋 帆花
連絡先
REC事務部(京都)
主な連携メンバー
南山城学園
活動開始時期
2023年4月
主な活動地域
社会福祉法人 南山城学園