(1)事業の概要
滋賀県大津市坂本地区で古くから栽培されてきた食用菊である坂本菊を栽培する。収穫期が半月と短く労働が集中してしまうことや、加工の際に花びらを手でほぐす必要があり手間がかかることから、高齢化に伴って農家数は減少している。今では大津の伝統野菜にも指定されている坂本菊の「種」を守るため、現在よりも多くの消費者ニーズも必要とする。よって、栽培するだけでなく新たな坂本菊を使ったレシピの試作などによって知名度の向上を同時に行う。
(2)事業実施に至る経緯と背景
佐藤茂教授の「花と果物の科学」の講義での呼びかけで興味をもったのがきっかけである。龍谷大学の瀬田キャンパスは滋賀県に位置しているが、多くの学生は滋賀県外から通学している。実際菊ガーデンのメンバーも大阪府と京都府から通学している。そこで大津の伝統野菜である「坂本菊」を栽培することで滋賀県の独自のものと関わりたいと思ったから。
(3)事業実施項目
- ・6月1日
苗の提供 坂本菊農家である高阪音吉さんに苗20本を提供していただいた。 - ・6月4日
挿し木苗の提供・挿し木 坂本菊農家であり、坂本菊会理事長の芝村貞喜さんに挿し木苗を提供していただいた。また、挿し木で上手く根をだすための栽培方法等をお話しいただいた。その後切り口にオキシベロンをつけて挿し木を行った。 - ・6月15日
栽培についての方針建て 坂本菊農家さんの畑を借りて栽培するという案も出たが水やり、成長の記録などのことを考えて龍谷大学の9号館裏のハウスで栽培することになった。それに伴って佐藤茂教授の栽培経験を踏まえて以前から検討していた雨除けハウスを設置することを決める。 - ・7月9日
植え付け・雨除けハウス設置 坂本菊のプランターへの植え付けを行う。また、学校行事等に展示できるように小さなプランターにいくつか移し替える。雨除けハウスの設置も同日に行った。 - ・8月3日
坂本菊試食 前の年に収穫され冷凍保存されていた坂本菊を解凍し何種類かのドレッシングを用いてサラダとして試食を行った。 - ・11月3日
福井県での視察 菊の有名な福井県に実際に赴き、武生中央公園内で行われていた菊花展を鑑賞した。菊花展に展示されていたのは食用菊以外の菊が多かったが今までの活動では食用菊以外の菊に関わりを持つことはなかったので良い機会となった。菊花展で菊を販売している農家の方に福井県では給食に食用菊が使用されることや健康茶として食用菊が使われていることを聞くことができた。 - ・11月11日
京都府立植物園での視察 京都府立植物園では菊人形などはなかったが福井県の菊花展にも展示されていた菊を使ったアートが展示されていた。 - ・11月13日、23日
坂本菊の収穫 坂本菊の収穫を行い、花びらをがくから外して湯がき冷凍保存を行う。 - ・11月24日
ひらかたパークでの視察 大阪府にあるひらかたパークでも菊人形が展示されているということだったので見学をしに行った。福井県の菊花展ほどの大規模なものではなかったが光を効果的に使うことで福井県のものとはちがった印象を受けた。 - ・1月5日
坂本菊の試食会 キッチンのついたスペースを借りて試食会を行った。 - ・水やり 坂本菊の成長に合わせてメンバーが順番で水やりも行った。
(4)事業の成果
・ 坂本菊農家の方はプランターでの坂本菊の栽培は難しいとおっしゃっていたが、雨除けハウス設置等で雨の跳ね返りを防ぐことで栽培が可能であることがわかった。よって、畑を持たない人でも栽培することができるので今まで思われていたよりも手軽に栽培することが可能となり、栽培者の増加に役立てることができると考える。
(5)課題と今後の展望
今回の事業での課題はやはり、坂本菊の活用方法が少ないことである。今期に行った試食会でもべっこう飴やお味噌汁に彩りとしていれたものを作ったが、坂本菊自体を主役としたものを見つけることができなかった。 今後は、坂本菊自体を主役とした活用方法を見つけることが坂本菊の需要を高め、栽培者の増加を望むことができると考える。
(6)事業実施を通じて見出された特長
効果的に地域や社会との連携を進める上で、今回の事業を通じて見出した特長、連携事業をより効果的に進めていく上で他団体の参考となるであろうポイントを記載してください。(3 点程度)
- ポイント1「坂本菊の専門の農家の方から直接栽培のアドレスをいただける」
- ポイント2「滋賀県独自のものと触れ合うことができる」
活動団体情報
代表者
菊ガーデン 代表 長谷川彩翔(農学部食料農業システム学科)
連絡先
REC事務部(京都)
主な連携メンバー
大津市農林水産課、高坂 音吉氏(農家)、龍谷大学農学部 佐藤 茂教授
活動開始時期
2018年4月
主な活動地域
大津市