しか活プロジェクト(2022年度龍谷チャレンジ採択事業)

(1)事業の概要

本プロジェクトの事業内容は、京都府相楽郡笠置町を拠点に、獣害被害対策によって駆除された鹿の生態系サービスを、最大限活用する中で、地域の課題解決に貢献することである。具体的には、今まで活用されてこなかった鹿の皮を使った商品の開発と、その販売、さらにこの商品の製作過程を、地域特有の雇用として住民に提供するための仕組みづくりと、そのインパクトを計算、考案している。

(2)事業実施に至る経緯と背景

私たちは、笠置町にある株式会社Re-socialが、鹿肉を作る工程で、鹿皮や骨などの鹿肉以外の9 割を廃棄しているという現状があることを学んだ。そこで、鹿肉だけでなく、鹿皮も活用できないかと思い、鹿革商品のデザイン・作成・販売に取り組むことを決意した。
また同時に、笠置町民が雇用を求めているというという現状があったため、余っている鹿皮と笠置町民を上手く結びつけられないかと思い、今回の事業を考案した。

(3)事業実施項目

  1. 株式会社Re-socialの訪問
    株式会社Re-socialに何度も足を運び、野生の鹿の実態や鹿皮について教えてもらい、実際に鹿を見に、山に同行した。鹿革商品を作る上で、売り物なのでクオリティを求められることや値段設定の仕方など教わった。
  2. 鹿革商品の作成
    まず、鹿皮の特徴である「柔らかい」「肌触りが良い」「きめが細かい」などのポイントを押さえた上で、デザインを考えた。株式会社Re-socialにアドバイスをもらいつつ、私たちはカードケース、スリーブ、ロールペンケースを実際に作成した。
  3. questionでの販売
    三条にあるQuestion で、株式会社Re-social の鹿肉と私たちが実際に作成した鹿革商品を販売した。

(4)事業の成果

  • 笠置町には潜在的な地域資源があることを見出すことができた。実際にペンケース、コインケース、スリーブ商品開発、作成を行うだけでなく、マルシェを通して販売まで行い、実際に商品を買っていただくことができた。今後、試行錯誤を繰り返すことでさらにクオリティの高い商品を提供することができれば、地域資源になる可能性が多いにあり、売上が向上することで笠置町の地域活性化に貢献することができる。
  • ビジネスモデルの構築を提案を行った。笠置町について理解を深めていくにあたって雇用問題があることを知り、鹿革と雇用問題を掛け合わせたビジネスモデルを大学コンソーシアム京都で提案した。また、最終発表でも意見を頂き、近隣の革工場との連携をすることで地場産業の活性化を図るなど笠置町だけで完結せず、周りとの協業する必要性を学んだ。
  • 鹿革について周知することができた。鹿革商品の販売を行う際にはお客様とお話できるように積極的に話しかけることを意識した。実際に手に取っていただき、鹿革の性質を肌身で感じていただくだけでなく、ストーリーマーケティングを通して説明を行った。これにより、鹿皮のバックグラウンドを伝えることでお客様の鹿革の理解を深めることができた。また、1か月に1回のラジオ番組を通して鹿革の魅力の広報を行った。私たち自身が具体的に取り組んだことを言語化することにより、リスナーにも理解を深めてもらえるように努めた。

(5)課題と今後の展望

今回は笠置町の資源である鹿革を用いて笠置町住民の雇用を生み出す事業を行ってきた。しかし、笠置町がこれから存続していくためには若者の増加が必要不可欠だ。そのため、若者に対する事業も行っていかなければならない。笠置町での雇用が安定した後は、若者に対する事業へと拡大していきたい。

(6)事業実施を通じて見出された特長

ポイント1「作り上げたい社会のビジョンの明確性」
ポイント2「消費者の意見を実際に聞く」
ポイント3「参与観察の重要性」

活動団体情報

代表者
しか活プロジェクト
小坂 勘太

連絡先
REC事務部(京都)

主な連携メンバー
RE-SOCIAL、加美屋

活動開始時期
2022年4月

主な活動地域
京都府相楽群笠置町

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