(1)事業の概要
龍谷大学栢木ゼミと京都市伏見区に拠点を置いている、大本染工株式会社との協力事業となっている。大本染工株式会社はスクリーン加工やインクジェットプリンターによる染色加工を得意としている企業である。企業から学生への要望としてUV硬化インクを活用した、学生ならではのアイデアを基に商品開発を行うプロジェクトになっている。最終目標はあべのハルカス(大阪市天王寺区)にて学生主体の催事に出店することである。
(2)事業実施に至る経緯と背景
ゼミの活動の一環として、ゼミ内でこの事業に参加するメンバーを募り、活動が始まった。大本染工株式会社から、立体的に印刷する技術を用いた大学生らしいアイデアをもとに商品開発をしてほしいという要望があった。また、大阪府商工会議所の小野様にも協力そこから、自分たちのアイデアを出し、企業と話し合いを重ね、試行錯誤し、実際に商品を開発の開発を行った。
(3)事業実施項目
学生間の打ち合わせ(2023/1/12~3/2)
企業との顔合わせを行った後、自分たちでアイデアを考え、企業に向けてプレゼンを行った。プレゼンは、対面とオンラインで実施した。私たちは三つのアイデアを企業に提示した。まず、一つ目はパスケース、日本各地の写真をパスケースにプリントするという案。二つ目はペット遺影、亡くなったペットの毛並みなどを立体的に再現するという案。三つ目は立体トランプ、立体的に作ることで変わったカードゲームとして提供するという案。これらすべての案は企業には概ね高評価であったが、予算についてはどれも高くなってしまうという問題が浮上した。その後、企業からのアドバイスをもとに、パスケースは素材の工夫、ペット遺影は大幅に変更し、動物パネルへと変更、トランプは立体的にする箇所の削減を行った。
先行販売の実施(2023/10/21)
最終目標であるハルカス学園祭の出店前に、市場調査を兼ね、事前販売を行った。男山商店街(京都府八幡市)で行われた男山ハロウィンマルシェに出店した。店頭で販売したのはパスケース、またワークショップとして立体トランプの体験会を実施した。当日は地域の家族連れが多く、トランプは子供にとても好評であった。また、パスケースは4個販売し、売上傾向を掴むことができ、ハルカス学園祭出店に向けた、在庫調整の判断材料になった。
あべのハルカス学園祭(2023/11/16~20)
あべのハルカス百貨店で開発した商品を実際に販売。事前準備として商品を展示するブースを作成。ポップやポスターを貼り、商品を見やすくする工夫を凝らした。販売期間では、お客様への声掛けや商品の説明をし、商品の売り込みを行った。その結果、パスケースの在庫の7~8割を売ることができた。立体トランプや動物パネルは多くのお客様に楽しんでいただいた。
(4)事業の成果
- 大本染工株式会社の強みである、 UVプリントの活用した商品開発により、その技術を広める機会を創出。
- 大本染工株式会社と龍谷大学との商品開発プロジェクトを完遂し、産学連携の事例を創出。
- 大利商店街(寝屋川市)、男山商店街(八幡市)主催のイベントに参加し地域活性化に貢献。
- 龍谷大学の取り組み(商品開発プロジェクト)について、各イベントに実施により、地域住民やイベント来訪者に認知を得る機会になった。
(5)課題と今後の展望
ターゲット設定
実際の顧客層の半数以上は女性、その多くは高齢者であった。その他の顧客層は同じくハルカス学園祭に出店していた学生(女性多め)であった。しかし、女性向けの商品を一つも開発することができていなかった。ターゲットは確かに予想しにくかったが、幅を広げた商品展開をすべきだった。
SNSを用いた効果的な宣伝
インスタグラムの開設が遅かった。その要因といえるのが試作品の作成に取り掛かった時期が遅れたことだ。試作品がない状況で何を投稿すべきなのかが分からなかった。しかし、試作品に頼ることなく、活動を応援してもらえるような投稿を考え、発信すべきだった。
高価格帯商品の過剰生産
高価格帯商品が抱えるリスクを十分に把握する事ができていなかった。結果として客寄せパンダ的効果を発揮することができたものの直接的な売上に繋がることはなかった。生産コストは作成前に提示してもらったうえで、製造数をしっかりと吟味すべきだった。
(6)事業実施を通じて見出された特長
- ポイント1「協力事業者との連絡手段を一本化 」
- ポイント2「各部門でリーダーを配置」
- ポイント3「メンバー内の均等な役割分担」
活動団体情報
代表者
LOOK
福田 啓太
連絡先
REC事務部(京都)
主な連携メンバー
大本染工株式会社、あべのハルカス近鉄本店、保護者や本学の友人
活動開始時期
2022年11月
主な活動地域
龍谷大学深草キャンパス、大本染工株式会社、あべのハルカス近鉄本店