あぐり・にゅ~とり(スタートアップ部門)(2023年度龍谷チャレンジ採択事業)

(1)事業の概要

情報過多の現代では、正確さに欠けたり、偏ったりしている情報も溢れており、昔の定説だった健康情報が、最新の研究結果では異なることも多々ある。そこで、栄養に関する正しい知識を持ち、バランスの良いメニューを組み立てることができる管理栄養士の存在が大いに役立つと考えた。
そこで、本チームは管理栄養士として学んだ知識を活かして食事を提供し、食や栄養バランスの重要性を広めることを目指し活動を行った。
また、昨今問題となっている、食に関する様々な課題について事業を通じて解決することも目的とした。

(2)事業実施に至る経緯と背景

コロナ渦で瀬田キャンパスからカフェが撤退し、学生がほっと一息つけるような場所が無くなってしまったと以前から感じていた。このような状況の中で、管理栄養士の資格を有している我々で、なにかこの状況に貢献出来ることはないのかと考えていた。
また、同時期に他大学で学生が食堂を運営しているという事例を知った。
そこで我々は龍谷チャレンジを利用して、学生生活における食選択の拡充やQOLの向上を目的とし、事業を行った。

(3)事業実施項目

我々のチームが理想とする、管理栄養士としての食へのアプローチを実現するためには、どのようなメニューが適しているかを考えた。その結果、この事業では、最終的に栄養バランスの整った定食などを提供したいと考えていた。
まず、その手始めとして、経営や提供に慣れることを目的に、提供手順が比較的単調であるカフェメニューの提供から行うこととした。野菜を練り込み、栄養価を向上させたマフィンなどの美味しいスイーツとドリンクを提供できたらと考えており、見た目も可愛く、栄養も豊富なスイーツの試作を重ねていた。
しかし事業を進めている過程で、営業許可との兼ね合いもあり、マフィンなどのスイーツを制作することは不可能であるとわかった。
採択して頂いたのにも関わらず、何も成し遂げないのはチャンスを無駄にしてしまうと考え、「模擬店等の食品取り扱い届出」での営業許可を取得し、その範囲で提供出来るものを提供するようにした。
「模擬店等の食品取り扱い届出」での営業許可は、取り扱える食品の種類や手順が限られていたため、ホットサンドとドリンクの提供をすることとし、メニュー開発から値段や量の設定、開催周知、オペレーションなど、先生方から様々なアドバイスを頂きながら自分達で試行錯誤しながら提供を行った。

(4)事業の成果

龍谷チャレンジの普及、学生主体のプロジェクトの促進

このプロジェクトを行うことで、龍谷チャレンジの普及を行えたと感じる。また、学生主体のプロジェクトの可能性の拡大に繋がったと考える。
たとえ前例が無くとも、事業に対する熱意や積極性、挑戦・継続・改善する力があれば、自分が成し遂げたいことに対しての挑戦が龍谷大学で行えると言うことを示すことができたのではないか思う。
我々のように夢のある学生に対してのお手本となり、その学生の挑戦、成長に繋がれば我々のチームとしても幸いである。

栄養へのアプローチ、情報へのアクセス

堺市のトマト農園、omezan bakeryの方に協力していただいた提供回に、「トマトスープセットのいいところ」という栄養成分など、食情報へのアクセスが容易にできるポスターを掲示した。
さらに、トマト農園のこだわりトマトの情報、トマト農園、omezan bakeryさんのInstagramアカウントのQRコードを添付し、スープセットを注文された方々がトマトやフォカッチャの情報にたどりつけるような工夫も行った。

フードロス削減に向けての取り組み

堺市のトマト農園の方と共同で、市場には出回らない裂果したトマトを使用し、新たな製品価値を生み出すという取り組みを行った。
12月22日に提供したトマトスープのレシピ考案だけで無く、現在はトマトを使用した他の製品提案を行っている。何度もミーティングや試作を重ね、新たなトマトの可能性について探りつつ、市場調査などを行い製品化に向けて取り組んでいる最中である。
この取り組みが成功すれば、フードロス削減やSDGsにも大いに役に立つのではないかと考える。
また、今回の事業に対しての形の残る成果として、世の中に発信できるとても良い機会であると感じる。

大学生活の充実、食の選択の広がり

瀬田キャンパスにはカフェが撤退し、学生がほっと一息つける場所が無い。
そのような特徴がある瀬田キャンパスで我々の事業を行い、場所を提供することにより学生や教職員の食の選択やQOLが向上したのではないかと考える。
また、大学生活の充実に繋がったのではないかと考える。

(5)課題と今後の展望

今回の事業での課題は、1から事業を行うということのハードルがとても高く、事業実施やオペレーションに時間が奪われたことである。
そのため、当初我々が目標としていた、提供方式や周知、栄養へのアプローチなどが満足のできる形で行えなかった。
今後は、より情報発信に力を入れたり、営業許可内で提供可能なバランスのとれた料理について模索したりしたいと考える。
また、トマト農園の方と共同開発を行っている裂果トマトの加工品について、更なる改良や製品化を進め、栄養改善や食品ロスに貢献していきたいと考える。

(6)事業実施を通じて見出された特長

  1. ポイント1「周りへの積極的な事業の周知」
  2. ポイント2「様々な事に興味を持ち、失敗を恐れずに積極的に挑戦すること」
  3. ポイント3「諦めない心、臨機応変に対応する力」

活動団体情報

代表者
Team Dietitian Specialist
久米 美春

連絡先
REC事務部(京都)

主な連携メンバー
農学部 食品栄養学科 教員

活動開始時期
2023年6月

主な活動地域
龍谷大学瀬田キャンパス

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