フクシマに学ぶ ー実践的広報プロジェクト (旧「フクシマいわき物産復興プロジェクト」)

活動の概要

福島県は東日本大震災に伴う原発事故によって今も深刻な影響を受け続けています。帰還困難区域の指定解除が計画的に進められていますが、ふるさとへの帰還はなかなか進まないのが現状です。廃炉に向けた難しい作業や汚染廃棄物の中間貯蔵など、困難な問題が山積しています。

しかし、同県を一歩離れると記憶は薄れる一方です。とくに関西ではその傾向が強いといえます。

本プロジェクトは、「味」を通じて「フクシマを忘れない、忘れさせない」というメッセージを発信しようという取組です。

活動の内容

「3.11」の直後、本学の働きかけに福島県いわき市、いわき商工会議所、東日本国際大学などが応じてスタートしました。原発事故で大きな被害を受けている福島県浜通り地方の「味」を紹介することを通じて、フクシマの現実を関西に伝え続けてきました。

プロジェクトに参画する本学社会学部の学生は、被災地の現状、原子力や再生可能エネルギーの仕組みなどについて事前学習を行ったうえで、夏休みのいわき合宿に臨みます。合宿では避難者や地元物産(食品、食材、農産物など)の生産者、地域住民、そして地元学生などさまざまな立場の方々と触れ合い、心の奥底で地元の方々や生産者の方々の思いを受けとめます。

こうした交流を通じて受けとめたメッセージを載せて、物産を流通させたり、福島の味を関西に紹介したりする点が特徴です。

2011年秋に本学から最寄りのショッピングモール「フォレオ大津一里山」の全面協力を受けて第1回物産展を開催して以来、2016年まで毎年秋の物産展を続けていました。2017年からは、福島の味をモチーフにした関西人向けのオリジナル商品の開発にも取り組んでいます。このほかにも、学生主体の「千羽鶴運動」などさまざまな告知活動を行ってきました。

「3.11」直後、いわき市のトマト生産会社をした東日本国際大学(いわき市)と龍谷大学の学生(2011年8月)

両大学の学生が共に分析した福島の味の可能性(2011年8月)

第1回物産展で提供するためにいわきの名物を試食する学生(2011年8月、東日本国際大学で)

これまでの成果

「3.11」直後に学生有志を募ってスタートしたプロジェクトでしたが、2012年度からは社会学部コミュニティマネジメント学科が提供する「コミュニティマネジメント実習」として正課化しました。

これまでに延べ200人近い学生が被災地を訪問し、地元の皆さまとの交流を重ねてきました。本学学生にとって貴重な学びとなってきたのはもちろんのこと、被災地の皆さまに対してもさまざまな気付きのきっかけを提供してきています。

6年目で初めて実現した「Jヴィレッジ」(東電福島復興本社)見学(2016年8月)

住民帰還が始まったばかりの南相馬市小高区で小高商工会女性部の皆さんから地元の味についてヒアリング(2017年8月9日)

津波被害で120名が亡くなったいわき市薄磯海岸に完成したかさ上げ街区。「3.11」ではコンクリート部の上部線まで津波が来た。(2017年8月)

今後の目標・課題

福島原発の廃炉作業は今後数十年にわたるとされ、放射能による脅威は長く続きます。マスメディアの関心が徐々に薄れていくのはやむを得ないと思われますので、「忘れない、忘れさせない」ための一層多面的、かつ地道な活動が求められます。

各種地域団体やNPOなどとの連携を深めることが課題といえます。

第3回いわき合宿の際に、津波被害を受けた海岸地域を訪問。僧侶の学生の読経の下、合掌(2013年8月)

第4回いわき合宿では、地元野菜農家を訪問。
「原発被災を契機として、料理人や流通業界との連携が深まった」というお話を伺った。 (2014年8月)

【他団体・グループとの連携について】連携可

連携先へのメッセージ

「フクシマを忘れない、忘れさせない」──。活動の目的はシンプルです。
趣旨に賛同する皆さんとの幅広い連携を期待しています。

お問い合わせ

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活動団体情報

代表者
築地 達郎
(社会学部准教授)
専門分野:情報社会学、広報論

主な連携メンバー
東日本国際大学(福島県いわき市)、いわき商工会議所、小高商工会、フォレオ大津一里山ほか

活動開始時期
2011年6月

主な活動地域
福島県浜通り地域

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