河川環境保護と伝統行事活性化をつなぐまちづくり活動

活動の概要

大学近隣の地域活動に学生が関わることで、学生は実社会の地域課題を把握することができ、地域社会は学生の活動を通して大学が持つ問題解決の手法を探ることができます。その課題とは、町内を流れる東高瀬川へのゴミの不法投棄と相俟って伝統行事である地蔵盆参加者の減少でした。学生の活動を通して不法投棄は減少し、地蔵盆には河岸の「竹灯籠(斜めに切った青竹にろうそくを入れる)」が定着して美的関心が高まり伝統行事の活性化を促しました。

地蔵盆を慎ましく彩る竹灯籠

活動の内容

東高瀬川の河岸で実施される地蔵盆は負の遺産により形骸化されていました。自治会との連携のきっかけは、平成26年8月に学生がボランティアとして地蔵盆に協力したことです。その後、すでに実施されていた地域住民と小学生、高校生による東高瀬川の環境整備活動(清掃・草刈り)へ学生が継続して参加してきました。平成26年から毎年実施してきた「竹灯籠」は、今では地域の恒例イベントとなり、平成27年以降、地蔵盆は、学生の企画・運営を取り入れてさかんになりました。

河川清掃活動と地蔵盆行事への関わりは、平成27年度から大学コンソーシアム京都の「学まちコラボ」として毎年応募して継続採択されてきました。人々を遠ざけていた河川が竹灯籠や地蔵盆の会場として整備され、不法投棄も改善に向かっています。河川の環境問題の解決策が伝統行事の活性化に繋がりました。地域住民だけでなく、高校生・学生の活動が地域社会にさまざまな相乗効果を生み出しました。加えて近隣住民が環境と伝統保持への関心を高めることにも寄与しました。

東高瀬川流域の清掃活動

竹灯籠を制作している様子

これまでの成果

昨年、住民意識調査を実施したところ竹灯籠の継続を望む声が多かったので、今年は京都工学院高等学校において地域住民・高校生・大学生が、40個の竹灯籠を手作りして一致団結の機運を盛り上げました。地蔵盆会場から遠い高齢者宅に子どもたちと学生が出向く「スタンプラリー」は、外出しづらい高齢者が行事に参加するきっかけとなりとても喜ばれました。地元自治会と学生側の提案で、「市政出前トーク」(住居密集地における地域防災活動)の学習会を開催したところ多数の方々が参加され、学生が地元消防団に加入するという動きもありました。

川久保町自治会住民意識調査(2016年10月実施、全世帯対象回収率66.2%)

川久保町自治会住民意識調査(2016年10月実施、全世帯対象回収率66.2%)

今後の目標・課題

河川への関心を高めるため、地域では「ホタルを飼育して飛来させよう」との活動が始まりましたが、今年度はプレイベントに終わりました。次年度に向けてホタルの幼虫の飼育にも協力します。不法投棄は改善しましたが、ホタルの飛来が現実化すると環境問題の解決策はさらに前進します。

この活動は地蔵盆の活性化だけが目的ではなく、今後想定される地域の課題解決には、外部(高校生や学生)からの活動と地元から共に協力しようとする諸個人・諸団体の働きが大きな力となることが立証されました。高校生・学生・地域諸団体との連携により、この活動が徐々に拡がれば大きな成果を残すものと確信します。

地域住民と共に取り組む学生

受賞・助成採択実績

  • 平成27年度~平成29年度「学まちコラボ」事業に継続採択
  • 平成27年11月京都市より「第2回京都地域力アップ貢献事業者等」表彰
  • 平成28年平成28年「大学・地域連携サミット ポスターセッション継続採択
  • 平成29年10月川久保町自治会よりゼミ学生へ「感謝状」

学まちコラボ事業成果報告会の様子

【他団体・グループとの連携について】連携可

連携先へのメッセージ

地域社会の課題解決につき、ともに活動しましょう

お問い合わせ

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活動団体情報

代表者
窪田 和美
(短期大学部教授)
専門分野:社会学、地域社会学、宗教倫理

連絡先
内線:3332

主な連携メンバー
川久保町自治会会長、砂川学区自治連合会会長、砂川学区東高瀬川を美しくする会会長、京都市立伏見工業高等学校教諭・生徒、京都市立京都工学院高等学校教諭・生徒

活動開始時期
2014年8月

主な活動地域
伏見区深草川久保町、東高瀬川の流域の地域

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