活動の概要
大津市には、「坂本ギク」と「近江かぶら」が江戸時代以前から伝わっています。坂本ギクは、東北・北陸地方の栽培を除いては国内では唯一の食用ギクであり、近江かぶらは各地のカブの祖先種と伝えられ、在来野菜としての価値が高いです。しかし、近年は栽培農家が激減して消滅が危惧されています。本プロジェクトでは、これらの作物の栽培の拡大と生産物の利用を普及する活動を行っています。
活動の内容
坂本ギク
- 2015 年夏に大津市坂本地区の栽培農家から入手した坂本ギク系統を、農学部内の温室で栽培し、栽培条件と栽培法の検討を行っています。
- 東北・北陸地方から入手した、他の品種・系統の食用ギクを栽培して成長比較を行っています。
- 秋の収穫時に、様々な個人・団体を対象にして試食会を行っています。
- 坂本ギクを材料にした加工品の試作のための案作りを行っています。
坂本ギク
近江かぶら
- 2015年秋から、大津市農林水産課で採種した種子の分譲を受けて、農学部内の温室で栽培し、栽培条件と栽培法の検討を行っています。
- 大津市内の食品加工業者による、近江かぶらを材料にした加工品の試作に協力しています。
- 近江かぶらにストーリー性を与えることが近江かぶらの普及に役立つと考えて、祖先種や後代種の植物学的研究を進めています。
近江かぶら
これまでの成果
坂本ギク
- 株分けによる増殖、施肥による成長促進、盛夏高温期の栽培個体の維持、梅雨期多雨時の病害管理、の方法を試験しました。
- 坂本ギク収穫物を材料にする加工品について調査検討し、試作品リストを作成して試作計画を立案しました。
近江かぶら
- 近江かぶらの普及に役立つストーリー性を与えるために、近江かぶらの祖先種(ミズナ)や後代種(聖護院カブ、寄居カブ、松ヶ崎浮菜カブ)、関連種(天王寺カブ)を材料にして、SSRマーカーを用いた系統解析(系統樹の作成)を進めてきました。現在までに、予備的な結果を得てさらなる精密化を行っています。
今後の目標・課題
坂本ギク
- 大量栽培を行い、加工品開発の材料を確保します。
- 得られた収穫物を材料にして加工品の試作を行います。
近江かぶら
- 近江かぶらを材料にして、加工品の試作と試食会に協力し、普及に貢献します。
- 近江カブの祖先種と後代種、関連種の SSRマーカーによる系統解析(系統樹の作成)を完成します。この成果をもとにして、近江かぶらの栽培と普及に役立つストーリーを作成します。
受賞・助成採択実績
- 本プロジェクトは、環びわ湖大学・地域コンソーシアム【大学地域連携課題解決支援事業2015】に採択されて開始しました。
- 同年12月に開催された「環びわ湖大学地域交流フェスタ2015 」で成果を発表し、活動奨励賞を授与されました。
【他団体・グループとの連携について】連携可
連携先へのメッセージ
栽培と利用について共同作業を期待します。
お問い合わせ
活動団体情報
代表者
佐藤 茂
(農学部教授)
専門分野:園芸学
主な連携メンバー
龍谷大学農学部(佐藤茂研究室)、大津市産業観光部農林水産課
活動開始時期
2015年7月
主な活動地域
大津市