(1)事業の概要
「地域で集い、地域を学ぶ」をコンセプトのもと、学びをキーワードにした3つの事業により、学校教育・食文化・地域コミュニケーション・移住支援へ貢献することで地域の主体的な取り組みに寄与する。3つの事業内容は、「ご飯会」、「コミュニティ・カフェ」、「学びの会」、である。これらの事業を実施することで「新しい拠点」を創り、新しいコミュニティの形成を実施する。
(2)事業実施に至る経緯と背景
本事業を実施に至った経緯では、ゼミ活動で志賀郷に訪れたことがあり、そこで志賀郷という地域を知ることになった。志賀郷は自然が多く、地域住民の方々は元気で外部の私たちに対してもとても暖かく接しいただいた。活動の中で、聞き取り調査を実施したところ「幅広い年齢の交流が少ない」「外部からの移住者を増やしたい」などの声が多く上がり、ゼミ活動では取り扱えない問題を解決するため事業を実施することとなった。
(3)事業実施項目
1 地域住民とのご飯会
志賀郷公民館で、地域住民におかずを持ち寄っていただくご飯会を開催する。そこで、サスティナブルレシピのアイディアを議論する。サスティナブルレシピとは、地産地消や食文化の継承、イベントによるコミュニティの形成などを通して、地域の持続性への貢献を目的としたもので、志賀郷の郷土料理を中心としたレシピ集である。この活動は、我々と地域の方々とのコミュニケーションを深め、事業を円滑に進めることも目的としている。
2 コミュニティ・カフェ
空き家保有者に協力をしていただき、空き家を利用した非営利のコミュニティ・カフェを開く。そのための空き家の整備、地域の担い手との交渉を実施する。提供する食材は志賀郷で生産されたものを主とし、サスティナブルレシピに記載のものも提供する。
3 学びの会
志賀郷公民館で「学び」をテーマとした地域住民主体の交流イベントを開催する。対象は、子供から高齢者まで幅広い世代である。内容としては、地域の人々から志賀郷の歴史や良さを伝え、志賀郷について学ぶことで地域愛着に繋がり、学校以外の子供たちの居場所(交流の場)を作ることで、楽しい学びを創造する。
(4)事業の成果
- 拠点の多機能化:ご飯会やカフェの開催を通して、拠点を単なる集まる場所ではなく、地域の様々なニーズに応える多機能な施設として位置づける。これにより、拠点の多機能化が促進され、地域の人々が利用しやすくなる。また、内外部での交流の形成が可能となった。地域内部と外部の交流が進んだことで、コロナ禍によってなくなっていたビアガーデンの復活などが行われた。
- コミュニティの活性化:拠点で様々なイベントやワークショップを開催し、地域住民同士や地域と学生との交流を促進する。これにより、地域のコミュニティの希薄化が解消され、地域住民がつながりを持ち、協力し合う場を形成された。
- 学校以外の子供たちの居場所や交流の場を提供し、楽しい教育の創造に寄与した。実際に小学校で自分の住む小学校の魅力について考える授業を行ったことで子供たちは自然への関心や意識を高めつつ、志賀郷への愛着感も深まったと答えた。
- 外部への普及:綾部市で行われたオータムフェスではスポーツや芸術をテーマに子どもから高齢者まで多くの方が参加しているイベントであり、今回は子供達が遊べるミニゲームを出展し、ご飯会で作成したレシピ本を配布した。参加者が「地域活性化における地域内外の協力の必要性」や「志賀郷の食文化」などいった点をまなぶ機会を設けることで志賀郷の魅力を外部へ発信できた。
(5)課題と今後の展望
「ご飯会」においての課題:ご飯会では、参加する人が固定型になってしまい、新しい参加者の確保が少なかったことである。参加者は主に1回目に参加した方が主であり、新しい参加者は、1回目に参加された方のお連れ様などであった。回数を重ねることに新しい参加者を獲得することが課題である。
コミュニティ・カフェ の課題:①様々な環境の人々が来やすくするための施策②ご飯会のように参加者の固定化や新規参加者への宣伝不足課題③.非営利運営のため、雇用の確保や継続性の課題 などの3つの課題が生じた。
学びの会においての課題:学びの会における課題では継続的な開催が課題である。志賀郷へは距離があるため私たちの団体だけでは継続的な開催が困難であることが分かった。定期的で継続的な事業に発展させるためには内部の方々の協力が必要であると考えた。
今後の展望として、ご飯会では、広報活動の仕方に焦点を当て、SNSや公民館にある掲示板、チラシなどを制作、配布することで幅広い年齢層が訪れるようにする。コミュニティ・カフェではご飯会と同様、幅広い広報活動と、内部による協力者の確保が挙げられる。学びの会では、私たちの活動を地域の方にご飯会や、コミュニティ・カフェを知ってもらうことで普及し、学び会のニーズを感じてもらうことで内部の協力を得る。私たちの活動が、志賀郷の新しい拠点として機能することで持続的なまちづくりに寄与すると考える。
(6)事業実施を通じて見出された特長
- ポイント1「コミュニケーションを通して信頼を築きあげること」
- ポイント2「円滑な連絡状態の維持」
- ポイント3「地域のニーズを理解すること」
活動団体情報
代表者
志賀郷魅力発信隊
福山 比奈子
連絡先
REC事務部(京都)
主な連携メンバー
志賀郷地区地域協議会
活動開始時期
2022年10月
主な活動地域
京都府綾部市志賀郷地区