プログラミング教室Prowiz

(1)事業の概要

小中学生を対象にしたオンラインプログラミング教室「Prowiz」を運営し、子どもたちの創造力やリジリエンス(困難を乗り越える力)を育て、自律性を高めることを目的とした。
独自のコーチング手法を取り入れることで、一方的な講義ではなく、生徒それぞれが主体的に学習を進められると判断したためである。具体的には、Scratchやマインクラフトを使った少人数制のオンライン授業を提供し、好奇心を刺激する教材やプロジェクト型の課題を通じて学習意欲を高めた。

(2)事業実施に至る経緯と背景

大学在学中、プログラミングを学ぶ中でプログラミング部を立ち上げ、子ども向けの学習指導を経験した。その際、子どもたちの需要の高さを実感し、独自の教育プログラムを開発。さらに市場調査の結果、プログラミング教育は今後も需要が拡大すると確信して事業化を決定した。しかし、急速に新規参入が増えたことで継続的な運営が課題となった。

(3)事業実施項目

(1) 教育プログラムの開発

Scratch・マインクラフト活用

直感的に学びやすいScratchや、空間把握能力と創造力を伸ばせるマインクラフトを教材として採用。プログラミングの基礎から応用的なアルゴリズム設計まで段階的に学習できる内容を整備。

コーチング手法の導入

生徒に「どう考えているか」「何を実現したいか」を問いかけ、自発的な気づきを促す指導を実践。講師間で指導マニュアルを共有し、アクティブラーニングを徹底することで、生徒のモチベーション維持を狙った。

カリキュラムのゲーミフィケーション

学習効果と楽しさを両立させるため、ゲーム要素(ポイント制、目標達成バッジなど)を組み込む。これにより、生徒が自己評価しやすく、達成感を得ながら学べる仕組みを構築。

(2) オンライン授業の実施

週1回90分の少人数制授業

一人ひとりの進捗を把握しやすいよう2〜5名でのクラス編成を徹底。画面共有やブレイクアウトルームを活用して、個別指導とグループワークをバランスよく行う。

自習環境の提供

バーチャル空間とチャットツールを併用し、生徒が家庭でも気軽に質問や交流を行えるように整備。講師が常駐する時間帯を設定することで、放課後や週末でも学習意欲を保てるようにサポート。

プロジェクト型学習の導入

チームで協力して作品を作り上げる課題を随時設定。簡単なゲーム開発など、自分たちでアイデアを出し合いながら成果物を作ることで、協調性と問題解決力を育む。

(3) 集客・マーケティング施策

SNSを中心とした広告展開

InstagramやTikTokといった動画配信プラットフォームをメインに、子どもや保護者の目に留まりやすいリール動画やショート動画を作成。定期更新することでフォロワー数を増やし、体験授業への導線を確保。
ブログ・リール動画の量産: リール動画と技術的な投稿を発信。プログラミング学習のメリットや楽しさを具体的に伝えるコンテンツを充実させ、SEO対策も兼ねて認知度アップを図った。

近隣住宅へチラシ配り

新聞折込をおよそ2万枚程度、手動で近隣住宅へチラシのポスティングをほぼ毎日友人の協力も得て5ヶ月間行った。SNSからの集客より、ポスティングからの流入率の方が高かった。

無料体験授業の導入

無料体験を気軽に参加できるよう週末や平日夜に複数枠を設置。講師の質や授業の雰囲気を直接体験してもらい、有料コースへの転換を促進した。

(4) 事業の運営・改善

アンケートでのフィードバック収集

生徒と保護者を対象に定期的なアンケートを実施。授業理解度や講師の対応、サービス全般への意見を募り、カリキュラム改善や新施策に反映。
広告のCVR向上策: 複数のクリエイティブやLP(ランディングページ)をテストし、効果の高い組み合わせを模索。クリック単価・CVR・CPAなどの指標をモニタリングしながらチューニングを図った。

継続率アップのためのサポート強化

授業後のフォローや定期カウンセリングを拡充し、モチベーションの維持と受講継続、学習習慣の定着を重点的に支援。

(4)事業の成果

新規獲得と継続率向上を同時に目指し、最終的には15名で終了した。
コーチングを取り入れた指導スタイルは、高い評価を獲得し、「自ら考える力が身についた」「プログラミングへの関心が高まった」という声が多く聞かれた。SNSのフォロワー増加や無料体験授業への集客は一定の成果があった。

(5)今後の課題と展望

競合の増加と広告費の高騰に対応できず、収益化が難航した。少人数制やコーチング手法は好評だった一方、差別化やブランド確立が追いつかず、継続率を十分に伸ばせなかったことが最大の課題である。最終的に撤退を選択し、オンライン教育の利点を十分に活かせなかった点も大きな反省材料となった。
本事業は撤退に至ったため継続はないが、得られたノウハウを別分野や異なるサービスに転用する意義は大きい。特にオンライン教育におけるコーチング手法やSNS集客の知見は、他領域や新規授業展開に活かせる可能性がある。
今後は参入領域を見直し、早期からマネタイズモデルを構築し、競合との差別化ポイントを明確にした新規事業を目指す考えである。

(6)事業実施を通じて見出された特長

  1. オンライン型サービスによる地域格差の軽減
    オンライン授業は場所を選ばず参加できるため、地理的条件による学習機会の差を縮小できる。地域や社会と連携する際、遠隔地との協働や交流がしやすい点は他団体にも参考となる。
  2. SNSを活用した集客とコミュニティ形成
    SNSでの情報発信は、広い地域へのリーチとコミュニティづくりを同時に進められる。フォロワー同士の意見交換やイベント告知など、オンラインならではの連携手法は各地の団体と協働する際にも有用である。
  3. コーチング手法による参加者の主体性向上
    自主的な学びを促すコーチングは、単なる知識提供にとどまらず地域や社会との連携プロジェクトにも応用しやすい。参加者同士が能動的に課題に取り組むため、共同事業においても活発な意見交換と成果創出が期待できる。

活動団体情報

代表者
湯口 後輔

連絡先
REC事務部(京都)

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