(1)事業の概要
能登半島地震に対して「現地へ支援を届けること」と「京都からできる支援を展開すること」の2つを軸に活動している。具体的には能登半島の被災地を訪問し支援活動や、学内で能登マルシェを実施した。また、能登半島に関わる人々を増やすため、学内で能登半島のことについて考える交流会を実施している。能登半島の現状を自ら確認して、現地の方々と共に時間を過ごす中で、単なる数字で語る成果を求めるのではなく、能登半島の方々の支えになるべく活動をしている。
(2)事業実施に至る経緯と背景
前身である能登支援ネットが行っていた避難所運営のサポートや現地との関わりに興味を持ち、「自分たちも能登半島のために何かをしたい」と感じた1回生を中心に組織した。避難所から仮設住宅へと現地の暮らしが移っていく中で、継続的な関わりを持ち続けることと社会の関心を高め続けていくことの必要性を感じて、「のとコネクト」として再出発し、現地で直接支援することに加え、京都に居ながらでもできる支援のあり方を続ける方法を考え始めた。特に活動を展開する上では、自分たちが被災地域の現状をリアルに捉えることを重要視し、能登半島へ足を運ぶ機会を意識的につくった。
(3)事業実施項目
(1) 能登半島訪問
のとコネクトの活動をよりリアルで充実したものにするため、現地でのフィールド調査と現地支援(災害ボランティア活動等)を実施した。
フィールド調査では、輪島市朝市通り、天領黒島地区、のと里山空港など、広い範囲の状況を見て知ることができた。視察だけでなく実際に能登の人々と対話することで、被災後どんな思いで過ごしてきたのかなどの背景を知ることや、その対話を通して能登支援ネットが関わりを持っていたコミュニティを含めた地域とも、関わりを持つことができた。
現地支援では輪島市の住居片付けや、のと里山空港の仮設商店街にオープンしたカフェSMOCOの設営の手伝いを行った。現地の方と協力の中でこれらの活動を行ったことが、のとコネクトと現地との関わりを増やすきっかけとなった。
(2) 学内マルシェの開催
大学に関わる人々に、能登半島の現状を少しでも感じてもらうことを目的に実施した。主に龍谷大学のオープンキャンパスや経営学部藤岡ゼミが企画する「RYUKOKU Market Place」で実施した。実際に能登で買った商品の販売をすることで能登の消費を応援することができ、マルシェに来てくれた人々に商品についての説明をすることで能登の魅力を人々に伝えられた。能登半島の状況やのとコネクトという団体そのものを知ってもらう機会としても活用した。
(3) フリーペーパーの配布
のとコネクトの活動内容を広報する目的で作成した。まずはのとコネクトについて知ってもらうために自己紹介的な内容で作成し、マルシェで配布した。一方的に情報を流すだけではなく、読み手が能登半島のことを自分事として捉えてもらえる内容を意識した。
(4) team龍谷イベントの協同企画
能登との繋がりや仲間を増やしていくことを目的に能登半島を想う人々同士の繋がりを作りたいと考え、「team龍谷」という交流イベントを協働企画した。龍谷大学NPOボランティア活動センターの学生やゼミ研究を行っている石原ゼミの学生など、能登と関わりを持った龍大生が集まり、自分たちが能登のために何ができるかを考える会となった。学年・学部を超えた、延べ70名の緩やかな繋がりを持つことができた。
(4)事業の成果
- 現地支援の実施と学び
これまで3回にわたり輪島市門前地区での住居片付けを支援し、のと里山空港の仮設商店街立ち上げ(SMOCO)にも協力した。また、輪島市河原田地区の住民と京都のシャボン玉パフォーマーをつなげ、復興に向けた新たな関わりを持つことができた。支援活動を通じて、被災者と支援者という関係を超えた「ありがとう、また来てね」というやりとりがあり、温かなつながりを実感できた。 - 学内マルシェの開催
学内で全5回のマルシェを実施し、現地商品の消費と能登半島への関心を喚起することに貢献した。売上は合計61,843円に達し、経営学部・藤岡ゼミとの共同マルシェも実施。龍大生や深草地域の人々が立場を超えて能登に関心を持つきっかけとなった。 - フリーペーパーの作成・配布
「つながるのと」第1号を学内マルシェで約100部発行・配布。InstagramやXのQRコードを掲載したが、SNSへの反響は少なかった。しかし、龍谷大学内に能登半島を支援することを目的に活動する学生団体が存在することを周知する成果を得た。 - team龍谷イベントの開催
能登に関わった龍大生が、緩やかなつながりを築きながら復興について考える場を提供した。NPOボランティア活動センターや政策学部石原ゼミの学生を中心に、延べ70名が参加。学生の想いや言葉が紡がれ、学内での関心を広げる時間となった。
(5)今後の課題と展望
現在の課題として、運営の中心メンバーに負担が集中し、参加者が主体的に関われていないことが挙げられる。準備段階からの関与を促し、参加者の活動に対する満足感を高める仕組みづくりをする必要がある。また、広報ではSNSでの情報発信のターゲットが定まっていなかったり、広報の内容があいまいであったりと不十分な箇所が多くあり、広報や活動の周知が課題となっている。これらの課題を改善する必要がある。
今後の展望としては、ターゲットを明確にし、無理に人を巻き込むのではなく、必要な人に情報を届ける工夫が求められる。ボランティアセンターや他団体と連携し、能登の震災に関心を寄せる人を集めて意見交換をする場を作り続ける。より多くの人が能登に関わる機会をつくり出していくことを目指す。そのために能登半島現地への訪問を継続しつつ、関西圏(主に京都)を拠点とした活動に重きを置いていく見込みである。
(6)事業実施を通じて見出された特長
- ポイント1「現地を目で見て関わり続ける」
- ポイント2「団体を客観視する」
- ポイント3「数字の成果にこだわりすぎない」
活動団体情報
代表者
榊原 大芽
連絡先
REC事務部(京都)
主な連携メンバー
田鶴浜スポーツクラブ、新京極商店街振興組合、能登島地域づくり協議会
主な活動地域
京都府内、能登半島地震で被災した地域(石川県七尾市田鶴浜地区ほか)