目指せ、アツコミ!深草アーカイブプロジェクト (社会連携・社会貢献部門)(2024年度龍谷チャレンジ採択事業)

(1)事業の概要

本事業は、深草地域の歴史や文化を地域住民、とりわけ若い世代に伝え、次世代へ継承することを目的とする。
地域の歴史に触れる機会を創出し、住民の地域への理解と愛着を深めるとともに、世代を超えた交流を促進する。さらに、地域資源を活用した学びの場を提供し、住民が主体的に関わる機会を増やすことで、地域への関心と参加意識を高める。こうした取り組みを通じて、深草地域の伝統や文化を次の世代に継承し、深草学の基盤を絶やすことなく築いていく。

(2)事業実施に至る経緯と背景

深草小学校を連携先として焦点を当てて活動を行った。小学校において、児童の学習の補助を行ったり、教育活動に参加したりすることで、地域学習の質の向上に貢献したいと考えた。また、深草小学校には、かつて使われていた備品や歴史的な資料が保管されている資料室があるが十分に有効活用されていない。しかし、歴史や文化に触れられる貴重な場であるため、子ども達がその価値に触れられる機会をつくりたいと考えた。資料室の中でも、今回はにわを取り上げた理由として、深草地域は歴史と関わりが深く、当時の暮らしや文化を知る上で重要な手がかりになると思ったからだ。

(3)事業実施項目

(1) 深草小学校でのはにわづくり

深草小学校の六年生を対象に歴史学習の一環として、クイズなどを交えて楽しく知識を深めたあと、粘土を使ってはにわづくりを実施した。形や表情を工夫しながら、実際に昔のものを作ってもらうことで、古代や人々の暮らし、文化への理解を深めてもらうことができた。

(2) まちあるきの実施

11/22(金)に、深草小学校の1年生~6年生全員を対象にグループで校区内のハイキングを行った。まず、事前授業として昨年度までに作成した「かるた」「すごろく」を用いて深草校区について事前学習を行い良さや歴史の面白さを見出した。学年がバラバラの班を作成し、一本松や聖母女学院などの場所をはじめとしたスポットを巡った。また、歴史などを学ぶと同時に地域の人と関わることで、良い新たな交流の場になった。
小学生自身が深草地域に関心を持ち、深草地域に暮らす一員として自然や歴史を受け継いでいくことを目的として行った。
12/15(日)には、深草アーカイブ実行委員会とまちあるきを実施した。深草アーカイブに掲載されている写真と今を比べることで、地域とのつながりを感じ、学びを深めることができたイベントとなった。今昔写真集の作成は、現在調整中。

(3) 深草小学校の資料室の整備

深草小学校の資料室に保管されている歴史的な道具は、十分に活用されておらず、多くの人が訪れる場所にはなっていない。そこで私たちは、資料室に深草地域に関する歴史を知ることができるパネルを設置し、子供たちにとっては深草の歴史を学ぶ場として、また地域住民の方々にとっては懐かしさを感じられる場となるよう工夫した。歴史的な資料をより身近に感じてもらい、地域の歴史や文化に対する関心を持ってもらうきっかけとなった。

(4)事業の成果

  • 深草小学校でのはにわづくりは、終了後のアンケートから「昔の文化や歴史に興味を持った」という学生が90%、「地域の資料室に行ってみたい」という学生が72%と小学生にはにわという歴史的な資料に触れてもらいながら、深草とはにわとの歴史的な背景も知ってもらうことによって、小学生などの若い世代が地域のアーカイブに関心を持つ機会となった。
  • 小学校との総合的な学習では小学生が実際に地域を歩くことによって深草の歴史や地域の人々と関わりを持つ機会を作ることができ、小学校と地域の関わりがより強くなり、深草地域として、厚く熱いコミュニティの「アツコミ」を形成することにつながった。
  • 深草アーカイブ実行委員会との連携活動では今昔写真集は未完成ではあるが、これまでの深草地域を対象とした、ワークショップや伏見連続講座での地域の異なる世代の人々が同じように深草のことを考えることによって、昔の記憶や知られざる情報などが共有され地域の人々が楽しめる空間となった。
  • 深草小学校の郷土資料室の整備は現在も進行中であるが、小学生が地域の資料に興味を持つきっかけとなるように資料室の環境を整備し、資料室が小学生の居場所としてのプライオリティを向上させることに今後も尽力していきたい。

(5)今後の課題と展望

今後の事業での課題は、現在協力して共に活動を行っている「アーカイブ実行委員会」や「深草小学校」などの連携先との継続的な連携と、新たに深草を一緒に盛り上げていける連携先の発見などが挙げられる。また、地域住民の積極的な参加を促し、多様な世代が関わる仕組みを作ることも重要な課題である。特に、若い世代や新しく地域に移り住んだ人々にも関心を持ってもらい、活動に参加してもらうことで、より広がりのある地域交流を生み出したいと考えている。
今後の展望として、資料室をさらに魅力的な空間にするために、展示方法の改善を進めていきたいと考えている。具体的には、歴史的な道具に実際触れることができる体験型の展示の導入や、映像や音声を活用した展示をすることで、子供たちや地域住民が当時の人々の生活について深く学べる場にしていきたい。さらに展示を見て学ぶだけではなく、地域の人々が集い、交流しながら歴史や文化について語り合うことができる場としても活用していきたい。

(6)事業実施を通じて見出された特長

  1. ポイント1「連携先との密な連絡」
  2. ポイント2「事業に対する綿密な準備と計画性」
  3. ポイント3「事業ニーズに対応した新たな発想力」

活動団体情報

代表者
戸川 竣介

連絡先
REC事務部(京都)

主な連携メンバー
京都市立深草小学校、深草アーカイブ実行委員会、京阪ホールディングス

主な活動地域
京都市伏見区深草小学校区、及びその周辺地区

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