CHA-GACHA(2025年度龍谷チャレンジ<スタートアップ部門>採択事業)

(1)事業の概要

 本事業は、龍谷大学のウォーターサーバー横にガチャ型自販機を設置し、宇治茶のティーバッグを無人販売する取り組みである。マイボトルを活用する「きっかけ」を提供しながら、お茶を淹れる習慣を広めることで、伝統的な茶文化を次世代へ継承することを目的としている。現在は学内での運用を基盤としつつ、地域社会や観光地への展開を見据え、大学内外で茶葉からお茶を楽しむ文化の普及に向けた体制構築を行っている。

(2)事業実施に至る経緯と背景

 本事業を着想した最大のきっかけは、自身が京都という歴史ある茶産地に身を置きながら、日常生活の中で「本物の茶葉」に触れる機会がいかに少ないかに気づいたことである。市販されている安価で利便性の高いペットボトル飲料が普及する一方で、急須を使って茶葉からお茶を淹れるという日本の伝統的な文化は、特に若年層の間で急速に失われつつある。

 実際に京都の茶農家の方々にお話を伺う機会があったが、そこでは切実な現状を耳にした。近年の抹茶スイーツブームなどで「抹茶」の需要は高まっているものの、家庭や日常生活で「急須で淹れるお茶」の国内需要は減少の一途をたどっている。農家の方々からは、「このままでは京都が誇る茶文化が途絶えてしまう」「国内で安定して飲まれる文化が続いてほしい」という強い願いを託された。この言葉を受け、単にお茶を売るのではなく、「お茶を淹れる習慣そのもの」を現代の学生生活の中に再定義する必要があると考えた。

 学生のライフスタイルを分析したところ、多くの学生が「マイボトル」を持ち歩いているものの、中身は水や市販の飲料が中心であり、茶葉から淹れる手間を敬遠していることが分かった。そこで注目したのが、学内に設置されている「ウォーターサーバー」である。飲料水の供給源であるサーバーのすぐ横に、高品質な宇治茶のティーバッグを「ガチャガチャ」という遊び心のある形式で提供すれば、物理的・心理的なハードルを劇的に下げられるのではないかと考えた。

 また、本事業は単なる物品販売に留まらない。マイボトルを所有していても、中身を用意するのが面倒で活用しきれていない学生に対し、その場で中身を購入できる仕組みを作ることで、「マイボトルを使うきっかけ」を創出することを目指した。これにより、学生はワンコインで本格的な宇治茶を楽しみながら、自らお茶を淹れるという体験を日常に取り入れることができる。

 さらに、この取り組みを通じて、大学というコミュニティが地域文化の継承拠点となることを意図した。学内での成功をモデルケースとし、将来的には地域の商工会議所や観光地などへもこの「きっかけ作り」を広げていくことで、京都の茶文化を未来へ繋ぐ一助になりたいという強い想いがあり、現在も地域進出が進んでいる。学生が日常の中で「お茶の美味しさ」に驚き、それが農家の支援や文化の保護につながると考えている。

(3)事業実施項目

ガチャ型自販機の設置・運用体制の構築

 保健所への届出等の法的要件を整備し、和顔館・22号の2拠点に計3台を設置。継続的な運用に向けた在庫管理・補充体制を確立した。

マイボトル利用促進に向けたキャンペーンの展開

 「自分でお茶を淹れて持ち歩く」体験の第一歩として、マイボトルの配布を計画・実施し、学生がボトル生活を始めるきっかけ作りを行った。

週替わり広告による情報発信の運用

 利用者が定期的に自販機へ足を止める仕掛けとして、機体周辺に週替わりの広告スペースを設置。お茶の知識や地域情報の提供を開始した。

学外連携に向けた協議と準備

 地域の商工会議所や観光地のカフェ等から設置依頼を頂いており、大学外でも茶葉で楽しむお茶のきっかけ作りを広げていくための協議を進めている。

(4)事業の成果

販売実績(売上)

 煎茶・ほうじ茶合わせて**計1020杯分(510カプセル)の販売・流通体制を確認した。

行動変容の端緒

 マイボトル配布とサーバー横での販売をセットにすることで、学生が「日常的に自ら淹れる」という新しい習慣を持つきっかけを創出した。

外部からの高い評価

 学内での取り組みが評価され、商工会議所等の外部機関から設置の引き合いを頂くなど、社会的なニーズを証明できた。

(5)今後の課題と展望

 今回の事業での課題は活動が学内のみでの販売に限定されていたことだと分かった。

 今後は学外(観光地や商業施設等)への設置を順次進め、大学発のモデルとして「茶葉で楽しむお茶文化」をより広範に広げていく予定である。

(6)事業実施を通じて見出された特長

  1. ポイント1「現地に行って言葉で伝える」
  2. ポイント2「人が触れたいと思う、ワクワクする仕掛けを常に考える」
  3. ポイント3「利益は2番、1番は社会貢献」

活動団体情報

代表者
向原 宏一郎

連絡先
価値創造推進部

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