学生団体rindo(2025年度龍谷チャレンジ<スタートアップ部門>採択事業)

(1)事業の概要

 地方の魅力を全国へ伝えることを目的とし、地方の特産物を関西圏内のマルシェにて、委託販売する事業である。3社の企業とお取引をさせていただいていたところ、期間内に新たに1社の企業と取引が始まり、1市町村4社の企業と取引をしている。

(2)事業実施に至る経緯と背景

 代表者が計4年間を島根県益田市で過ごし、地域企業や農家、生産者、そして地域住民の方々と交流を重ねる中で、地方が抱える現実や課題を目の当たりする機会が多くあった。こうした経験が、本事業を立案・実施するに至った直接的な背景となった。下記に具体的な背景を2つ挙げる。

 第一に、地方企業や生産者の経営状況の厳しさを知ったことが挙げられる。地域の方々との対話を通じて、「新規採用者の減少」「販売不振」「販路開拓の困難さ」など、共通する経営課題を数多く耳にした。企業の中には販路拡大のために東京など都市圏で開催される物産展や商談会に参加する取り組みをされている企業もあった。しかし、現場の人員が少なく、出張による生産現場の停滞、交通費や宿泊費などの経費が重なり、結果として赤字になってしまうという現状があった。地方における「販路拡大の壁」は、単なる努力不足ではなく、構造的な課題であることを実感した。関西圏に暮らす私たち大学生が都市部で販売の一端を担うことができれば、企業や生産者の方々の負担を軽減しつつ、新たな販路を築くことに貢献できるのではないかという考えに至った。本事業の第一の動機は、「現場の声に寄り添い、企業や生産者を支える活動をしたい」という想いである。

 第二に、地方の魅力を全国に伝えたいという強い想いがある。益田市での生活を通じて、都市部では感じにくい人と人とのつながりや、豊かな自然環境、歴史や文化に根ざした伝統的な営みを目の当たりにした。地域の方々が大切に守り続けている文化や生活様式には、都市生活者が忘れかけている価値が数多く存在している。例えば、四季折々の景観や地域の祭りに代表される文化行事、農作物や水産物を通じて受け継がれてきた知恵や技術は、単なる「商品」にとどまらず、地域そのものの魅力を映し出す大切な要素である。その魅力を都市部に住む人々に知っていただきたいと強く感じた。

 これら二つの要素「地方企業や生産者の支援」と「地方の魅力の発信」が結びつき、本事業の立案、実施に至った。当学生団体は、都市部でのマルシェ販売や、生産者へのインタビューを通じて、地方の産品を単なる「物」として売るのではなく、その背後にある物語や人の想い、そして地域文化をも一緒に伝えることを目指している。こうすることで、消費者には新たな発見や共感を、企業や生産者には販路拡大の可能性と経営改善の一助を提供できると考えている。

 本事業は、益田市での4年間の生活を通じて培った地域との関わりを原点とし、「地方の課題を解決しつつ、その魅力を都市へ届ける」という理念のもとに構想された。単なる販売活動ではなく、地域と都市を結ぶ架け橋となる取り組みとして、今後も継続的に展開していくことを目指している。

(3)事業実施項目

週1回の定例ミーティング

 週1回定例ミーティングを実施している。

マルシェに向けての取り組みや振り返り、諸々のタスクの進捗状況等の確認を行うための時間になっている。週1回1時間から2時間程度で、状況によってオフラインとオンラインを使い分けながら実施している。

5月9日農林水産省よりヒアリング

 農林水産省農村復興局農村計画課より、学生の農村漁村への関わりと学生団体の現状についてヒアリングをしていただいた。

6月20日東本願寺neoマルシェ出店

 6月20日に東本願寺neoマルシェに出店し、取引先の2企業の商品を販売した。マルシェの雰囲気感をつかむことと他の出店者からの情報を得ることを目的とした。当日は2商品しか売れず、販売することやお客様に足を止めていただくことなど、たくさんの難しさを感じた。しかし、他の出店者さんとの交流などで陳列の仕方や接客の仕方などを学ぶことができた。

8月よりうみかぜ工作室様取引開始

 7月中旬にうみかぜ工作室様より、学生団体のSNS(インスタグラム)へ「取引させてほしい」とのご連絡が入り、一度お会いし、金額等の交渉を経て、正式に取引を開始した。

8月10日ガレリア亀岡道の駅フリーマーケット

 8月10日にガレリア亀岡道の駅フリーマーケットに出店した。取引先3企業様の商品を扱う中で、陳列の工夫や企業紹介POPの作成を行い、多くの人に立ち止まっていただけるような仕組みづくりを行なった。6つの商品を購入していただいた。

9月13日~15日 島根県益田市へ訪問

 取引先企業様がある島根県益田市へ訪れ、4社様へご挨拶に伺った。現状の活動の共有やこれからのお取引の話に加え、生産現場や地域の魅力の場所などを実際に案内していただいた。

9月25日 農林水産省専門部会への出席予定

 9月25日に農林水産省で行われるイベントにご招待をいただき、出席した。「農山漁村」経済・生活環境創成プラットフォームの一環として、学生の取組を主とした専門部会があり、農山漁村を応戦する活動をしている学生に取り組み内容や問題意識を発信し、議論するイベントである。

(4)事業の成果

①2回のマルシェ出店の出店販路開拓の実践

 東本願寺neoマルシェ・ガレリア亀岡フリーマーケットにおいて、100名を超える来場者へ商品や生産者の紹介を行った。

②販売活動を通じた改善点の発見

 初回マルシェでは販売数が2商品にとどまった。陳列の仕方や情報のわかりやすいPOPなどお客さんに足を止めていただく工夫の重要性を他の出店者さんのご意見をいただき発見した。

 2回目のフリーマーケットでは、陳列改善やPOP作成を行った。多くの来場者が立ち止まり、接客・説明の機会が増加。販売数が 6商品と増加した。各企業30枚以上のチラシをもってかえっていただいた。しかし、購入までに至るお客さんは少なく、「少し値段が高い」というお声を多く耳にした。フリーマーケットということもあり、お客様の来場目的との相違があったのだと考える。お客様の客層や来場理由など、マルシェ選択の際に推測し、どのように魅力を伝え、手に取っていただくかを考えることの重要性を学んだ。

③新規取引先の獲得

 SNSを通じて「うみかぜ工作室」との取引が成立した。

島根県から京都府内で行われているマルシェ出店を続けていたものの、赤字傾向に悩んでおられる際に、当団体の活動を知り、お声がけいただいた。

現在は新規1企業を含む4企業様と取引を行っている

④当団体のSNS(Instagram)にて企業紹介

 タケダ猪精肉店様とうみかぜ工作室様の宣伝を当団体のSNSにておこなった。タケダ猪精肉店様は1450を超える閲覧数、うみかぜ工作室様は1000を超える閲覧数があり、多くの方に見ていただくことができている。

⑤当団体SNS(Instagram)の運用

 79人にフォローしていただいた。
3か月で述べ12,600回以上団体SNSを閲覧していただいた。
企業様紹介、団体紹介、活動報告(マルシェ当日の様子)など計8投稿行った。

⑥地域課題の発信と共感の拡大

 農林水産省農村復興局農村計画課によるヒアリング対象となり、学生による地域連携活動の事例として認知された。そして、農水省主催のイベントにて活動紹介を行う機会を提供していただいた。

⑦学生自身の成長

 メンバー全員が交渉・広報・販売実務・SNS運用など活動に伴う必要業務を行うことで、以前よりもできることの幅が広がっている。今後の出店や事業拡大に向けた課題整理・改善点を把握することができた。

(5)今後の課題と展望

 本事業は、大学からいただいた5万円の助成金をもとに始動し、マルシェ出店やSNS発信を実現した。その結果、当初3社であった取引先企業が4社へ拡大し、販路の広がりにつながった。また、農林水産省からヒアリング対象に選ばれるなど、学生主体の地域連携活動として一定の社会的評価を得ることができた。いただいた資金を有効活用し、今後の活動発展に向けた基盤となった。

 一方で、課題も明らかになった。初回のマルシェでは販売数がわずか2商品にとどまり、陳列や接客方法、価格設定の難しさを痛感した。二回目のフリーマーケットでは改善が見られたものの、「価格が高い」という声が多く寄せられ、来場者の客層や目的に応じた戦略が不十分であることを実感した。また、広報活動についても、SNSを通じて一定の効果は得られたものの、発信力やフォロワー数の面では十分とは言えず、オンラインでの認知度拡大が今後の課題である。さらに、交通費や備品費用に加え、出店料といった運営経費の負担が学生団体にとって大きく、活動の持続可能性を確保するための資金調達方法を検討する必要があると考えている。

 これらの課題を踏まえ、今後は次のような展望を描いている。

 第一に、販売戦略の強化として、出店するイベントを慎重に選定し、客層に適した販売手法を確立するとともに、商品の背後にある生産者の物語や地域の魅力を効果的に伝える取り組みを進める。具体的には、動画やリーフレットを用いた情報提供を検討している。

第二に、広報活動の拡充として、Instagramに加えX(旧Twitter)やTikTokなど複数の媒体を活用し、若年層を含む幅広い層への情報発信を行う。さらに、大学内外のネットワークを通じて活動を広め、認知度を高めていく。

 特に今後は、団体のホームページを有料プランに移行し、情報発信基盤を強化することを計画している。これにより、生産者や企業の紹介記事を定期的に掲載し、活動の内容をより多くの人に届けることが可能となる。オンライン上での発信力を高めることで、マルシェ来場者だけでなく全国の人々に地域の魅力を伝えることができ、販路拡大や商品の認知度向上につながる。この取り組みは、学生の社会貢献活動として大学のブランド価値向上にも寄与すると考えている。

 第三に、活動の信頼性を高めるために、PL保険(生産物賠償責任保険)への加入や営業許可の取得といった法的・制度的整備を進めていく。これにより、安心して消費者に商品を届けられる体制を整えるとともに、取引先企業や出店先からの信頼を一層確かなものとする。

 これらを実現するためには、ホームページ運営費や広報活動費に加え、保険加入費用や各種資格取得、さらには出店料などの経費を含めた追加資金が不可欠である。当団体はこれまでの実績を基盤としつつ、クラウドファンディングや助成金制度の活用など、多様な方法で資金調達を検討し、活動の持続可能性を高めていきたいと考えている。

(6)事業実施を通じて見出された特長

1. ポイント1「密な情報交換とコミュニケーション」

 取引先企業様との継続的な情報交換を重視するとともに、マルシェ出店時には他団体や出店者との交流を通じて販売方法や接客対応などの知見を共有した。外部から得た学びを自団体の活動に迅速に反映させることが、改善の大きな推進力となった。

2. ポイント2「地域との直接的な交流」

 実際に益田市を訪問し、生産現場を見学・体験することで、単なる商品販売にとどまらず「地域の物語を消費者に届ける活動」として展開できた。地域に足を運び、生産者の思いや背景を直接受け止める姿勢は、信頼関係の構築や活動の持続性に大きく寄与した。

3. ポイント3「学生ならではの柔軟性と発信力」

 SNSを活用した広報や若者らしい柔軟な企画立案により、従来の企業活動では難しい新しい販路開拓を実現した。特に、Instagramでの企業紹介投稿は多くの閲覧を獲得し、情報発信力の高さを示した。学生らしい感性とスピード感は、地域資源を都市部へ広める有効な手段となるのではないかと考えている。

 また、様々な地域イベントに参加することで、認知度向上や人脈を広げることにもつながる。自由に時間を使えるからこそ、そういった地域イベントに足を運んでみることも重要だと感じた。

活動団体情報

代表者
向原 宏一郎

連絡先
価値創造推進部

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