後世に伝えよう!伊庭の魅力再確認プロジェクト~想いをつなぐ~(2018年度「龍谷チャレンジ」採択事業)

最新情報

(1)事業の概要
本事業は、伊庭町の水辺を残す意味を後世に継承するための手法として、住民を主体とする映画制作を進めてきた。そこでは、多世代が多様な形で関わることができ、地域でひとつのもの作り上げることが可能であると考えた。その為の取組として、地域映画の実態を過去10年分研究し、伊庭町では「住民主体型」が最適であると考えた。それに伴い、現在は住民を中心に映画製作委員会を設立し、2020年春の上映を目指してプロジェクトを進めている。
(2)事業実施に至る経緯と背景
伊庭町には、日本遺産にも認定された水辺景観や坂下し祭りなどの伝統ある文化、歴史ある神社など、伊庭ならではの魅力が多くある。しかし、時代の流れと共に少子高齢化に脅かされ、伊庭町の文化・伝統を受け継ぐ世代が減少している。住民の「水辺を残していきたい」という想いを継承するためには、先代が受け継いできた「水辺を残す意味」を継承しなければならないと考えた。それを若い世代に知ってもらうのには映像媒体が最適であると考え、映画制作に至った。
(3)事業実施項目
・伊庭リンピックの開催
小学生を対象に水辺を身近に感じてもらうことを目的とした伊庭リンピックを開催。時代の流れと共に遠ざかっていく水辺との関係を、手作りの牛乳パック舟を川に流し、競い合うことで楽しみながら水辺を身近に感じてもらうことが出来た。子供たちだけではなく、ご両親とも親交を図ることが出来、私たちのことを知ってもらうきっかけとなった初イベントとなった。
・フォトコンテストの開催
写真を通して、伊庭の魅力を再確認してもらうことを目的としたフォトコンテストを開催。ただ写真を撮るだけではなく、各部門を設けて競い合ってもらったり、デジカメではなくチェキを使用するなど、より楽しんでもらうための工夫が効果的だった。このイベントにも沢山のご両親に同行していただき、徐々に私たちの認知度が高まってきていることを実感する第二回目のイベントだった。
・伊庭ガーデンの開催
これまで関わりの少なかった20,30代の男性を対象に、伊庭に対する想いを聞き交流を図る事を目的としたビアガーデンならぬ伊庭ガーデンを開催。20名ほどの沢山の方々にご参加いただき、昔の思い出や熱い想いを聞くことや、私たちの想いも伝えることが出来た。さらに、一人の方に私たちの伊庭に全力で向き合う姿勢を褒めていただき、これからも頑張れる活力を頂くことが出来た第三回のイベントとなった。
・川床カフェの設置
絵日記という伊庭の祭に参加し、川の真上に足場を作り、飾りつけをした川床カフェを開催。祭のお手伝いや出店することで、これまでの取り組みやこれからの目標を伝え、まずは知って貰い、さらに共感してもらうことを目的としていた。実際に、祭に来ている全員の前でお話する機会を頂き、私たちの想いを熱く伝えることが出来た第四回のイベントとなった。
・映画製作委員会での戦略会議
これまで関わってきた住民の方々の中で、私たちの想いに共感してくれた方々と映画制作委員会を設立。学生がファシリテーターを務め、伊庭から連想するものをブレインストーミングを用いて熱く議論していただいた。これまで二度開催し、テーマ決めまで進んでいるため、これからは具体的な脚本づくりやキャスティング、ロケハンに住民主体で取り組んでいく。
・地域映画の研究
地域映画の知識を付けるために、まずキネマ旬報から地域映画と名乗っている作品の共通点を抽出。そこから地域映画を「特定の地域を主要な舞台としてストーリーを展開し、上映している作品」と定義付けた。その定義から共通するキーワードを抽出し、朝日新聞、毎日新聞の2007年から2017年の10年間から調査した結果、行政主導型・住民主体型・地域資源発信型・地域継承復興型・興行収入型に類型化した。さらに伊庭の特徴を当てはめて分析した結果、住民主体型が最適であるという結論に至った。
(4)事業の成果
・子供たち対象のWS(伊庭オリンピックやフォトコンテスト)を行い、普段あまり関わらない水辺を活用した遊びをした。そのため子供たちに水辺に対する思い出や愛着が生まれた。また付き添いの保護者たちに昔の暮らしをお話していただき、保護者も伊庭の魅力の再確認をすることが出来た。
・伊庭について話し合うコミュニティが生まれた。
伊庭ガーデンという懇親会に30代の方々が集まってくださった。恥ずかしがりながらも伊庭の魅力や、なぜ外に出ず伊庭で暮らしているか等、普段話さない「伊庭への愛情」を一人一人語ってくださった。そうすることで普段眠っている伊庭への誇りを呼び覚ますことが出来た。そしてその中から映画制作委員会が生まれたことも一つの成果だと言えるだろう。
・伊庭について真剣に話し合うこと
映画製作委員会ではメンバーがどのようにすれば子供たちに伊庭の文化や伝統が伝わりやすいのか、水辺がこれまでに残ってきた意味は何なのか等、子供たちに分かりやすく、何を伝えるのかを真剣に議論している。20代~40代の伊庭住民が真剣に地域について話し合う機会はあまりなく、委員会での議論は伊庭での他の活動にも大きく貢献するだろう。
(5)課題と今後の展望
今回の事業での課題はいかに共感の輪を広げていくかである。
地域の想いと私たちの想いに共感していただいた方々と、映画制作委員会を立ち上げることが出来た。しかし、今後進めていくにあたり、映画に関するより専門的な知識や、20代~40代では分からない「水辺の暮らし」の知識が必要となってくる。また、キャストやロケーション等を決めるうえで、より多くの地域の方々の協力が必要となるだろう。しかし現在、各世代の中心人物となる人は巻き込むことが出来ているので、これからその人を頼りに、様々な方々と繋いでいただき、どんどん協力者を増やしていきたい。そして委員会メンバーを増やしていくことで、世代を超えたコミュニケーションの場を創出し、地域が一丸となった住民主体の地域映画が生まれ、さらなる活動のプラットフォームになるだろう。地道ではあるがこのプロセスこそが住民主体の地域活性化への糸口となると考える。
(6)事業実施を通じて見出された特長
1. ポイント1「地域住民になること(地域に認めてもらうこと)」
2. ポイント2「地域住民が主体」
3. ポイント3「地域のキーパーソンを探し出すこと」

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活動団体情報

代表者
水辺の里伊庭を考える会 代表 山本海都(政策学部政策学科)

連絡先
REC事務部(京都)

主な連携メンバー
東近江市森と水政策課、伊庭ボランティアガイドの会、能登川まちづくり協議会

活動開始時期
2017年1月12日

主な活動地域
滋賀県東近江市

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