淀本町商店街ふれあいライブラリー(2022年度龍谷チャレンジ採択事業)

(1)事業の概要

月に一度商店街の空き店舗を利用し、地域住民から寄贈していただいた本を用いてふれあいライブラリーを運営している。さらに、この本を各店舗にも置かせていただき、商店街全体を図書館化する図書館化計画に取り組んだ。
また、定期イベントの開催やSNSの活用に取り組んでいる。イベントでは、新たに臨時出店や写真コンテストを企画した。これらの取り組みは商店街に人の流れを作り、活気を生み出すことを目指している。

(2)事業実施に至る経緯と背景

駅のロータリーが移動したことから人の流れが変わり、商店街の利用者が激減した事や店舗主の高齢化により閉店した店舗が増加し、商店街全体の活気が失われた。そこで、誰もが気軽に訪れることができる商店街を目指し、ふれあいライブラリーや図書館化計画の実施、イベントの開催が取り組まれていた。今年度は新たに臨時出店や写真コンテスト、SNSでの情報発信等に取り組むことによって、人と人とを繋げる場を創造する活動を行った。

(3)事業実施項目

  1. チラシの作成
    ふれあいライブラリー開放やイベント開催にあたり、日時・場所・イベント内容等を記載したチラシを作成した。淀地域周辺の住民へ告知するため、付近の小学校や児童館への配布に加え、淀駅周辺・淀本町商店街にて歩行者にチラシを配布した。この活動を通して、ふれあいライブラリーやイベントの告知だけでなく、我々の活動についても興味を持ってもらうきっかけとなった。
  2. ふれあいライブラリーの開放
    月に一度、空き店舗を利用し、地域住民から寄贈していただいた本を用いてふれあいライブラリーを開放している。毎月しおり作りやビブリオバトル、ブックカバー作り等、本に関連した企画を考案した。
  3. イベントの開催
    8月に夏祭りイベント、10月にハロウィンイベント、12月にクリスマスイベントを開催した。8月のイベントはうちわ作りやお菓子釣りを行い、10月は石鹼デコパージュ作成と輪投げを行った。子どもを対象としたイベントを開催することで、子ども達にも淀本町商店街の存在を知ってもらうことを目的とした。12月のイベントでは、子ども達に淀本町商店街にある店舗を知ってもらうきっかけ作りとして、クイズラリーを企画した。
  4. 写真コンテストの開催
    8月と12月のイベントでは写真コンテストを行った。昨年度は主に子どもを対象としたイベントを実施していたが、今年度は年配層が商店街に来るきっかけと作るために写真コンテストを開催した。
    10月、12月には写真撮影ブースを設置し、家族や友人と共に記念撮影をできるようにした。
  5. 臨時出店の実施
    8月と12月のイベントで臨時出店として、野菜市と手作り雑貨販売を実施した。(4)写真コンテストと同じく、年配層が商店街に来るきっかけ作りを目的に取り組んだ。
    野菜市では山末農園のご協力のもと野菜を販売、手作り雑貨では普段インターネットやフリーマーケット等で雑貨を販売している方にご協力いただいた。
  6. SNSの活用
    今まで商店街を知り得なかった方々に向けてInstagram、Facebookを活用し、商店街やイベントの宣伝に取り組んだ。また、商店街の店舗を紹介するため、店舗主への聞き取り調査も実施した。
  7. 小学校との合同授業を実施
    10月に商店街近隣の明親小学校にて合同授業を実施した。我々の活動を始めた経緯や目的、具体的な活動等についてスライドを使い、紹介した。その後、いくつかの班に分かれて、質疑応答を行った。1月には小学生が「お客さんが商店街に足を運んでくれる」を目指し、作成したポスターやチラシのアドバイスをしに小学校へ来訪した。
  8. 本の整理
    図書館化計画の充実として、店舗に置いてある本を入れ替え、客層に合わせた本を設置した。また、ポップの作成・設置や空き店舗内の本棚の並べ替えも行った。

(4)事業の成果

  • 8月・10月・12月イベントの成果
    昨年度よりもさらに参加者数が増加しているため、チラシ配布・ポスター掲示やSNSの活用がチラシの効果で認知度が向上したと考えられる。8月には70名以上、12月には80名以上が参加した。
    10月に明親小学校と合同授業を行ったことで、商店街のイベントに足を運んで下さる児童が多くなり、子ども達の親御さんも同時に商店街に来ていただいた。
  • 新たなイベント参加者層の増加
    写真コンテストや臨時出店を行ったことで、年配層の方々もイベントに参加して下さることが増えた。写真コンテストでは、イベント開催日以外に写真撮影や応募で商店街に訪れる機会があったことから商店街の魅力に気付いてもらうことができたのではないかと考える。
  • 店舗主との信頼関係の構築
    チラシ配布やポスター掲示の依頼やイベント協力の依頼、聞き取り調査の依頼等でお話しする機会が増え、信頼関係構築につながったと考える。
  • 新たなご協力先との提携
    8月と12月の季節イベントでは、臨時出店として野菜市や手作り雑貨販売を行った。その際、新たに淀地域の山末農園や手作り雑貨の作り手の方々と関係性を築くことができた。また、SNSを運用していく中で、この先ご協力いただけるような方々とも知り合うことができた。今後もこれら新たなご協力先と提携していくことが商店街のさらなる発展につながると考える。
  • 図書館化計画の進展

(5)課題と今後の展望

今回の事業での課題は5点ある。1点目はふれあいライブラリーの参加者固定化、並びに新規参加者の獲得である。2点目は写真コンテスト実施における商店街や地域の方の巻き込み方である。写真コンテストは今年度から試みた新たな企画ということもあり、イベント繫盛の肝である商店街や地域の方を巻き込む力が足りなかった。3点目はSNSの新規フォロワー獲得である。商店街について知ってもらうには、まず、アカウントを知ってもらう必要があるが、周知に至らない部分があった。4点目は臨時出店の単発で終わらないような出店に向けた取り組みの不足、5点目は商店街全体を利用したイベントの考案・実施の少なさである。
今後は「だれもが気軽に訪れることができる商店街を目指し、人と人とをつなげる場を創造する」ことを目的に、ふれあいライブラリーを子どもだけでなく、幅広い年齢層の方々が集える場とし、地域と商店街をつなげるものへとしていきたい。SNSを活用した情報発信は、商店街や地域住民から高いニーズがあったため、今後の実施も考えている。写真コンテストや臨時出店も効果がみられたため、今後の対象者へのアプローチ方法の参考とし、新たな企画を考えて行く予定である。

(6)事業実施を通じて見出された特長

ポイント1「新たなご協力先との提携」
ポイント2「組合加盟店・非加盟店との協力」
ポイント3「小学校との合同授業」

活動団体情報

代表者
淀本町商店街ふれあいライブラリー
永井 雅人

連絡先
REC事務部(京都)

主な連携メンバー
淀本町商店街振興組合、京都市立明新小学校、淀地域各種団体

活動開始時期
2017年7月

主な活動地域
京都市伏見区、淀本町商店街および淀地域

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