(1)事業の概要
市街化調整区域である大岩街道周辺地域で、私たち学生が主体となって住民・事業者・行政間の関係構築や地域課題の解決に向けて取り組んだ。具体的には、不法投棄の課題解決に向けた定期的な清掃活動の実施、景観改善のための畑整備等である。また、地域関係者の積極的なまちづくり参加を目指して、交流の場の機会の創出や地域コミュニティの活性化を目的とした親睦会イベントの企画・運営を行政や他大学との連携のもと実施した
(2)事業実施に至る経緯と背景
私たちの活動フィールドである大岩街道周辺地域は、市街化調整区域(市街化を抑制する地域)に指定されており、十分なまちづくりがされておらず、近年不法投棄や地域コミュニティの衰退が課題となっていた。そのような課題解決のために、住民が地区計画を策定して住み続けられることを前提に、地域関係者と議論の上、私たち学生が住民、事業者、行政間の関係構築や清掃活動など日常的な活動に向けた支援を行うようになった。
(3)事業実施項目
(1) 広報誌の作成、配布
自分たちの活動内容や、イベントの告知内容を記載した広報誌を実際に住民の家を訪問して配布した。広報誌配布の取り組みは、地域住民に自分たちの活動内容を認知してもらうという目的に加えて、住民とコミュニケーションを取るきっかけづくりや、 清掃活動や地域交流イベントへの参加を呼びかけることを目的として行った。
(2) 清掃活動の実施
大岩街道周辺地域の課題である不法投棄や景観悪化の課題解決の取り組みとして、二か月に一回、清掃活動を行った。広報誌配布の際に清掃活動への参加を地域住民に呼びかけ、イベント開催時には共に清掃活動を行った。
(3) 深草ふれあいプラザでの出店
深草ふれあいプラザに出店した。大岩街道周辺地域の放置竹林を利用した竹椅子作りのワークショップを開催したほか、竹を用いた輪投げ体験で地域の子どもたちと交流した。加えて、自分たちの活動を多くの人に認知してもらうために広報誌の配布も行った。
(4) 地域交流イベントの開催
地域コミュニティ衰退の課題解決の取り組みとして、大岩地域の鎮守池広場に設置している東屋を活用した地域交流イベントを年に2回開催した。地域住民に加え、支所の職員やや他大学の生徒、その他大岩地域に関わる様々な人に参加していただき、お汁粉などを学生が振る舞い、交流の場づくりをした。また、イベントの際には多くの地域の人たちと共に大岩地域の一斉清掃を実施することが出来た。
(5) 畑整備
景観向上のため、12月に大岩地域の監視小屋跡地にある畑にチューリップを植えた。
また、イベント時に活用することを目的にさつまいもの栽培に取り組んだ。
(4)事業の成果
広報誌の作成、配布による成果
広報誌配布は住民の方との貴重な交流の機会だと捉え、2か月に1回という定期的な配布を行った。配布の際にただ渡すだけでなく、雑談をするなど、積極的に自分たちから地域住民の方とコミュニケーションを取るように心がけたことで、配布するに連れて仲良くなる住民や事業者の方が増え、信頼関係の構築に繋がった。
清掃活動の実施による成果
広報誌配布や定期的な清掃活動により、回数を重ねるごとにごみの数は減少し、ごみが減ったという声も多くの地域関係者から頂いた。また、ゴミを減らすために大岩地域のごみ問題についてまとめ、いつもの活動場所とは離れた区域に向けた番外編の広報誌を配ったことも効果的であったと考えている。
深草ふれあいプラザでの出店による成果
自分たちのプロジェクトの活動内容や、大岩街道周辺地域について写真を用いて見やすく理解してもらいやすいようなパネルを作成したり、広報誌の配布を行ったりしたことで、大岩街道周辺地域や自分たちの活動を知らなかった人に認知してもらえるきっかけとなった。広報誌を受け取ってもらえた人も多く、体験型ワークショップを行ったことで、自然と会話も生まれ、楽しんでもらいながら自分たちのプロジェクトについて説明する良い機会となった。また、竹椅子作りのワークショップに加えて輪投げ体験も実施したことで、子どもから大人まで幅広い層の方と交流することができた。
地域交流イベントによる成果
事前に広報誌でイベント告知を行ったこともあり、1回目は約30名、2回目は約40名の参加となった。普段は交流することのない住民・事業者・行政・大学間のコミュニケーションのきっかけづくりを行うことができた。具体的には、住民が支所の職員に今後の地域のまちづくりについて意見を伝えている等、意見を直に行政に伝えられる機会となっていた。また、イベントの前に一斉清掃を行ったことで地域全体として美化意識を上げるきっかけづくりにもなれたと考える。
(5)課題と今後の展望
今回の事業での課題は、
- イベントに参加してくださる地域住民の方の固定化
- 清掃活動によりゴミは減ってきてはいるが、まだまだなくなっていない
- 広報誌配布の際に訪問しても出てきてくださらず、ポスティングのみになってしまう家もあり、広報誌を見ていただけているか分からない
- イベント時のコミュニケーション不足
- 放置竹林の活用が少なかった→深草ふれあいプラザでのワークショップでしか活用できていない
今後は清掃活動だけではなく、根本的に不法投棄をなくす対策を考えていく必要がある。また、地域住民との信頼関係をさらに構築し、新規のイベント参加者を増やすためには現地に足を運ぶ回数をもっと増やす必要があると感じた。具体的には、清掃活動の頻度を上げ、イベント開催時以外にも普段の活動から住民に参加を呼び掛けたり、放置竹林の活用方法を一緒に考えてもらったり、畑に植えた野菜、花の世話を一緒に行ってもらう等である。もっと私たちの活動に参加していただき、コミュニケーションの機会を増やし、ともに課題解決に取り組む姿勢を持ってもらう必要があると考えた。
(6)事業実施を通じて見出された特長
- ポイント1「連携先と親密な関係を築くための積極的なコミュニケーション」
- ポイント2「事業実施に対する前向きな姿勢」
- ポイント3「定期的かつ継続的な取り組み内容・姿勢」
活動団体情報
代表者
大岩街道周辺地域活性化プロジェクト
藤田 恭平
連絡先
REC事務部(京都)
主な連携メンバー
京都市伏見区役所深草支所地域力推進室大岩街道周辺地域環境整備課、京都大学大学院神吉研究室、NPO法人京都・深草ふれあい隊 竹と緑
活動開始時期
2015年4月
主な活動地域
京都市伏見区大岩街道周辺地域